宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  動悸について
動悸とは意識しない自分の心臓の拍動を色々な形で感じる状態をいいます。感じ方はドキドキと早く感じる場合、ドクンドクンと鼓動が大きく感じる場合、ドキドキッ、ドキッと一瞬胸が詰まるような動悸などがあります。動悸はたまに心臓の重い病気の初期症状にあたる可能性がありますので、今回は動悸について勉強しましょう。

なぜ動悸が起こるの?
緊張したり、飲酒をしたりして動悸の症状が出るのは、外部から受けた刺激で体が興奮して交感神経が活発に働くからです。人間には緊張状態や興奮状態のときに働く交感神経と、横になっているときやリラックスしているときに働く副交感神経という2つの神経によって支配される「自律神経」があり、この自律神経のバランスが崩れると体に不調をきたします。交感神経が活発に働くと、強い外部刺激から体を守るために、防御反応がでますが、その反応のひとつが一時的な動悸の症状です。

動悸の診断
いつから始まり、継続しているのか、どのようなときに起こるのかなどが大切になってきます。実際の診断では、聴診をして、心臓に病気があるか可能性を判断します。ほかにも、むくみや眼瞼のチェックを行う場合もあります。もし心臓の病気を疑われる場合は心電図や心臓エコーを用いて心臓の血流を診たり、24時間心電図をつけて運動をしていただいたりすることもあります。心臓の病気以外でも血液検査や甲状腺のホルモン量を測定することがあります。

治療方法
動悸のすべてが治療を要するわけではありません。安静にして治る場合もありますが、それぞれの症状に応じた治療が必要です。不整脈が原因で治療が必要な場合は、薬物療法や不整脈の原因となっている部分を焼くカテーテルアブレーションやペースメーカーを埋め込む場合があります。

動悸を感じたら
1.誘因があるか
2.自覚症状と持続時間
3.突然始まり突然止まるか、あるいは徐々に始まり徐々に止まるか
4.脈拍数はどの位か
5.脈拍の規則性(規則正しいか不規則か)

脈の様子をみるには、普段から脈の測り方を練習して、動悸など異常を感じたときにチェックする習慣をつけておくことが大切です。脈の測り方は、左右どちらかの手のひらを上にして、手首と親指の付け根のところを反対側の手の人差し指と中指、薬指の軽く触れて測るのが基本です。そのときに、触れる方の手の親指を反対側に回して手首を支えると測りやすくなります。

不整脈以外の疾患と動悸
貧血、更年期障害、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症でも動悸が現れます。息切れやめまいがあれば貧血、ホットフラッシュなどがある場合は更年期障害、手の震えや体重減少などをともなう場合は甲状腺機能亢進症など、症状と血液検査などで診断し、治療を受ければ改善します。

疾患以外が原因で起こる動悸
動悸は疲労や睡眠不足、ストレスによって起こる場合もあります。また、薬の副作用、脱水症状、アルコールなど、さまざまな原因で動悸が起こる可能性があります。受診の際には服薬履歴がわかるお薬手帳などをご持参ください。


(2023年2月21日)

  機能性ディスペプシアについて
機能性ディスペプシアは、原因となる病気が見つからないものの、胃もたれや胃痛などのさまざまな腹部症状が現れる病気です。薬による治療や生活習慣の見直しにより改善が期待できるとともに、漢方療法も効果があるといわれています。食事をしたものがうまく十二指腸(胃と小腸をつなぐ臓器)に流れていかない状態“胃もたれ”の対策を中心に、機能性ディスペプシアとはどのような病気であるのかご紹介したいと思います。

機能性ディスペプシアとは
血液検査や上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の検査をしても原因が分からないものの、食べ物がスムーズに消化されず、胃もたれや胃の痛み、食欲低下などのさまざまな症状が続く病気です。
機能性ディスペプシアの主な症状
@胃もたれ
A早期飽満感(食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになる)
B心窩部痛(みぞおちの痛み)
C心窩部灼熱間(みぞおちが焼けるような感覚)など
ただ、1つの症状だけで受診する方は少なく、複数の症状が重なって現れているケースが多くみられます。それぞれの症状は、胃の「運動不全」、「知覚過敏」により発症すると考えられています。胃の「運動不全」により、胃が十分に広がらず食べ物が食べられない。十二指腸へ食べ物を送ることができずに、食後のもたれを感じることもあります。胃が様々な刺激に対して過敏になる「知覚過敏」の状態になっているのと、少量の食べ物が胃に入っただけで胃の内圧が上がり、早期飽満感を起こすこともあります。また胃酸や食べ物の刺激によって、痛みや灼熱感が起こります。
症状が続く場合胃カメラ検査を行い、胃がんや、胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患がないか、ピロリ菌感染の有無を調べ、症状に応じて腹部エコー検査やCTなどの画像検査を行う場合もあります。治療は、胃酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬、漢方薬など考えられる原因に応じて治療していきます。
日常生活でできる胃もたれの対策
消化管の運動には、体の機能を調整する自律神経(交感神経と副交感神経)が関わっています。自律神経のバランスを整えるためにも規則正しい生活、十分な睡眠を心がけましょう。さらに、1日30分程度ウォーキングするなど、適度な運動をすることも大切です。食事に関しては一度にたくさん食べず、腹八分目くらいに抑えるとよいでしょう。
ご自身の症状の原因が、どのような部分にあるのかを判断するのは難しい場合があるかもしれません。気になる症状があり、食生活や生活習慣を見直しても改善されない場合は、受診を検討していただければと思います。


(2023年5月15日)

  肺非結核性抗酸菌症
皆さん肺非結核性抗酸菌症という病気は聞いたことはあるでしょうか。
結核は皆さんご存じの病気だと思いますが、肺非結核性抗酸菌症は知らない方も多いのではないでしょうか。
最初は自覚症状がない事が多い病気です。慢性疾患で当院を通院中の患者様がしばしば併発する疾患でもありますので、どんな病気なのか知っておきましょう。


肺結核との相違点
肺結核は、結核菌が引き起こす病気で人から人に感染しますが、肺非結核性抗酸菌症は人から人に感染しません。
感染源
土壌、水、塵埃などの自然環境に広く存在する環境菌で、水系、土壌などに広く分布しています。人の生活環境でも、水道水から菌が分離され、浴室、シャワーヘッドなどに定着することもあります。ほとんどの人が経口的にあるいは吸入することによって、体内に取り込んでいます。
症状
症状がなく、検診の胸部レントゲン検査などで偶然に発見される事が多いです。
一方で、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、倦怠感などの症状がでる事もたまにあります。
診断
画像検査(レントゲン、CTなど)・・・画像的に繊維空洞型と結節、気管支拡張型に大きく分類されます。
細菌学的検査・・・喀痰の中に2回MAC菌が培養で確認されれば確定します。
治療
数年から10年以上と長い年月をかけて、ゆっくりと進行する病気で、自然軽快することもあるため、軽症の時は経過観察することもあります。
症状や肺の影が悪化する場合は、薬による治療を行う。3種類の抗菌薬を2〜3年間飲み続ける必要があります。
抗酸菌免疫には、栄養状態が大きく関与します。夏バテや風邪を引いて体重減少がないよう気を付けましょう。
かかりやすい人
陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎など既存の肺疾患を有した方に多く見られていましたが、最近では、基礎疾患の無い中高年の女性に多く見られます。
  
結核菌が年々減少しているのに対し、肺非結核性抗酸菌症は増加しています。
日和見感染症のひとつと考えられており、健康の人では感染症を起こさないような弱い病原体が原因で発症する感染症です。身体の抵抗力や免疫力が低下し、病原菌の増殖が抑えられなくなると、病気が進行していきます。
抵抗力、免疫力を増強するために、十分な睡眠過食や偏食は避け、栄養バランスのとれた食事を心がけるなど、規則正しい生活、心身のリフレッシュが重要です。
人から人への感染はしないので、家族への伝染の心配はなく、周囲の人への特別な配慮は必要ありませんが、自宅内で菌が住み着きやすい場所、浴室、シャワーヘッドなど定期的に掃除をし、清潔に保つように心がけて下さい。
症状が無い方が多くおられます。
健康診断などで定期的に胸部レントゲン検査を受けましょう。

※日和見感染とは…正常の宿主に対しては病原性を発揮しない病原体が、宿主の抵抗力が弱っている時に病原性を発揮して起こる感染症です。


(2023年6月20日)

  腸閉塞について
腸閉塞は、腸管の癒着や血流障害により、腸管の内容物が流れなくなってしまう状態をいいます。その原因には多岐にわたり、再発しやすい状態でもあります。

原因には、大きく分けて2つの原因があります。1つ目は、腸管が狭くなってしまう(狭窄)や腸が折れ曲がってしまう(屈曲)または悪性腫瘍などの機械的閉塞、2つ目は、腸管の形そのものには問題はなく、生まれつきや薬の副作用など何らかの問題により腸の蠕動運動がうまく機能しない機能的閉塞があります。

症状は、腹部の張り・腹痛を感じるようになり、嘔吐をすることが多くなり排便やガスもできない状態になります。痛みの程度は個人差がありますが、軽度ですむ場合もあれば激痛になることもあります。閉塞した箇所より上に消化物がどんどんたまり同時に吐き気や嘔吐の症状がでてきます。腸管の血流障害が生じると、ショック症状を呈することがあり、腸管に穴があいてしまうこともあります。

診断は、問診で過去の病歴を聞き、症状の現れた時期や腹痛の強さを確認し、過去にお腹の手術を行ったことがあるか内服薬の有無などの確認をおこない、触診で判明する可能性があるため、腹部の膨らみや鼠径部(そけいぶ)の観察をします。
検査には、腹部の超音波検査や腹部レントゲン、腹部CT検査、血液検査など。腸管の血流障害の有無を確認する場合には、造影剤を点滴してCT検査を行う事もあります。

治療は、症状の重さや閉塞の原因により内容が異なります。軽い症状の場合には、保存療法で行います。保存療法は、絶食をし点滴で栄養補給をします。保存療法で症状の改善がない場合や重症の場合には、手術になります。

予防として便秘は腸閉塞の原因になるため、普段から便秘をしないように食生活に注意し、排便の習慣性をつけ、運動不足や食べ過ぎにも注意が必要です。そのため、食べすぎ早食いは避け、水分をこまめにとることで予防につながります。
排便が急に止まった時やお腹の痛みがある場合は、かかりつけ医に相談して下さい。


(2023年7月14日)

  食後高血糖について
近年、空腹時血糖が正常もしくは境界域であっても、食後に血糖値が上昇しやすい「血糖値スパイク」(食後高血糖)が、リスクとして注目されています。食後の血糖値が高い状態が続くと、様々な健康上のリスクがあると言われています。
食後高血糖とは?
食後2時間が過ぎても、血糖値が高い状態のこと。食後は誰でも一時的に血糖値が高くなりますが、通常であればインスリンがすぐ分泌され、食後約2時間以内には正常値に戻ります。食事をしてから2時間後に測った血糖値が140mg/dl以上ある場合、食後高血糖と判断されます。これはインスリンの分泌が少なかったり、働きが不十分だったりすることから、食後に血糖値が急上昇しているためです。
食後血糖値が高い状態が続くと、糖尿病を発症したり予備群である疑いがあり動脈硬化の危険因子としても重要で、放置しておくと血管障害が進み脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります。糖尿病を診断する空腹時血糖値が正常だったり境界域にある場合でも、食後の血糖値だけ大幅に上昇する場合があります。こうした症状は「隠れ糖尿病」である疑いがあります。
日常に取り入れやすい血糖値対策
要注意な「血糖値スパイク」ですが、“食後の血糖値”を毎日しっかり意識し、食事や生活を工夫することをおすすめします。
食事での対策
まずは日常の生活に必要な量を食べ、余分には食べないようにすることです。食べる量は少なければ少ないほど良いのではなく、多くも少なくもない適正な食事量です。適正な食事量は年齢・性別・体格・体を動かす程度などによって人それぞれに異なりますから、主治医に決めてもらいましょう。
次に栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)の過不足がないように、栄養バランスの良い食事をすることです。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べることが大切です。食べてはいけない食品は基本的になく、「糖尿病になってしまったから、おいしいものが食べられない。」「お菓子はもう食べられない。」ということを聞きますが、食べすぎさえしなければ食べられます。
さらには味付けを薄くし、塩物や干物などの塩分の濃い加工品をひかえることによって食塩を減らして(男性8g未満、女性7g未満)、高血圧を予防します。また脂身の多い肉などコレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品をひかえて、脂質異常症を予防します。野菜・きのこ・海藻などにより食物繊維を豊富に摂取します。これらによってより効果的に合併症の発症を予防できます。
以上の食事上の注意点は、糖尿病のあるなしにかかわらず大切なことです。食事は腹八分目にして好き嫌いなく食べるということが大切です。まずは現在の食事内容を把握して、修正するべき点を見つけ、そのうえで食事療法を実行した方が負担は少ないでしょう。
運動での対策
ウォーキングなどの有酸素運動
糖質を消費するために、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を取り入れるのが良いと言われています。運動不足の方は、手軽に始められるウォーキングを食後にやることから始めてみましょう。
日常生活でのこまめな動き
私たちが消費しているエネルギーで大きな割合を占めているのが、日常生活でのこまめな動きだと言われています。運動が苦手な人や、運動をしたくても忙しくてできない人などは、「階段を使う」「近場なら歩く」など日常生活の中でこまめに動くことを心がけましょう。


(2023年8月15日)

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