宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  マイコプラズマ肺炎とは
昨年よりニュース等で「マイコプラズマ肺炎」という言葉を耳にすることが多いと思います。
マイコプラズマ肺炎は、1980年、84年、88年と4年に一度のオリンピック開催年に定期的に流行していたため、かつて「オリンピック肺炎」とも呼ばれていました。しかし、近年の流行周期がはっきりしなくなった傾向が見られます。
2020年新型コロナウイルス感染症の大流行(パンデミック)が始まってから大きな流行はありませんでしたが、2024年夏頃より全国的に継続して感染流行しており過去5年間の同時期と比較してかなり多い状況です。
マイコプラズマ肺炎は「マイコプラズマ・ニューモニエ」という細菌に感染することで発症する呼吸器感染症です。
幼児から成人まで幅広い年齢層で感染する病気で、幼児は一度罹っても十分な免疫力がない為何回も罹ることがあります。
症状として、発熱・痰がからまない乾いた咳・頭痛・倦怠感・咽頭痛・喘鳴(ぜんめい)・吐き気・下痢・耳の痛み等があり、特徴としてしつこい咳と発熱・全身倦怠感が見られますが、どちらかというと発熱が先行して、それから咳が出てくることが多いです。初期症状は風邪ににていますが、マイコプラズマ肺炎の咳は熱が下がった後も3から4週間ほど続き、特に夜間、早朝に激しく出ることが多いです。
また、一部の人は重症肺炎になったり、無菌性髄膜炎、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群などの重い合併症を起こししたりすることがあります。
検査として、胸部X線にて、すりガラス様陰影と呼ばれる像があるかを確認し、病原体に感染すると体内でマイコプラズマ抗体が作られる為採血で確認をします。喉の奥を綿棒で拭う抗原検査もあり、結果は数分で出ますが、検査のタイミングなどによって結果が左右されることもある為問診や他の検査を併用して診断します。
治療として、主にマクロライド系の抗菌薬を使用しますが、最近はマクロライド系の効かない病原体も現れ、効果がない場合はニューキノロン系(オゼックス)、テトラサイクリン系(ミノマイシン)の抗菌薬に切り替えることもあります。
予防として、感染経路が飛沫感染、接触感染となる為十分な手洗い、うがい、マスクの着用が必要です。
マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は2から3週間と長いので、症状が治った後も体内に病原体が残っていることがある為通学、通勤時はマスクを着用し他への感染を防ぎましょう。
ご家庭ではなるべく体を休め、水分補給をしながら過ごしましょう。


(2025年2月10日)

  食道アカラシア
食道アカラシアとは、食道の機能障害の一種です。食道噴門部の開閉障害、もしくは食道蠕動の障害、あるいはその両方により、飲食物の食道通過が困難となる疾患です。
食道と胃のつなぎ目には、下部食道括約筋という筋肉が存在し、通常は胃に入った食べ物が食道に逆流しないように収縮していますが、食べ物を飲み込むと括約筋が弛緩して胃に入っていきます。
食道アカラシアという病気は、この食道の運動機能が障害されてしまい、食道と胃のつなぎ目の下部食道括約筋が、食べ物を食べたときにうまく弛緩せずに収縮状態が続くことで、食道から胃内へ通過せず、食道に滞留する疾患です。
 
原因
はっきりしたことはわかっていませんが、食道を動かす神経の障害が関係していると言われています。
 症状
 ・食べ物がつかえて下りていかない感じ
 ・食後の胸やけ、胃痛
 ・飲み込み時の突然の咳や、吐き気
 ・飲み込みに時間がかかる感覚
 ・体重減少や栄養不良
 ・食事の逆流により、嚥下性肺炎
  
 診断
・内視鏡(胃カメラ)
症状がある場合胃カメラを行い、上部食道の拡張の状態や、下部食道に食物残渣及び唾液の畜留、また胃と食道のつなぎ目の狭窄の状態を確認
・造影検査
バリュウムによる造影検査で狭窄の状態、拡張の状態を確認
・食道内圧検査、CTなど

治療
薬物治療、内視鏡的治療、外科的治療
 
予防
確立された予防法はありませんが、食事や食生活の改善により、症状の改善や進行の遅延が期待できます。
  ・食事の際ゆっくりと噛む。
  ・食べる時間を十分にとる。
  ・食後すぐ横にならないようにする。
  ・極端に冷たいものの過剰摂取や、暴飲、暴食を避ける。
  ・ストレスを上手にコントロールする。
  ・禁煙や飲酒量の減量。
  ・寝る前に食事をすることを避けるなど。
 頻度は、10万人に一人とされている稀な病気です。基本的に良性疾患ですので、直接命に関わる病気ではありません。しかし、停滞物の誤嚥で肺炎を起こすことがあります。また長期経過で、食道ガンが起こりやすいというデータがあります。定期的な内視鏡検査が有効です。夜中に咽る咳き込む、食べ物がうまく飲み込めないなど誤嚥症状や胸やけが続く、胸のつかえる感じなど気になる症状がある方は受診し、医師にご相談してください。


(2025年5月1日)

  百日咳について
みなさんは最近『百日咳』という言葉をよく耳にしませんか?
『百日咳』ってどのような病気?
咳が長引いているけど、これは百日咳?
インフルエンザ等ほど身近に感じにくい病気のため詳しく知らない方も多いと思います。そこで『百日咳』についてお話します。

百日咳について
百日咳は大人、子供ともに感染する病気です。
百日咳菌が原因の感染症で、その名の通り咳が長引くのが特徴です。
乳幼児期に受けた予防接種の効果が低下した大人の発症が問題となっています。
百日咳は第5類の感染症のため、感染が確認された場合、7日以内に届出が必要です。

百日咳菌とは1906年にジュール・ボルデとオクターブ・ジャングが初めてウイルス分類に成功したことが始まりです。
潜伏期間は約7日&#1231610日で、発症すると徐々に激しい咳発作があらわれ、短い咳(ケンケンケン‥)が連続的におき、咳が終わるとヒューと音を立てて大きく息を吸い込み、痰がでて治る。といった症状を繰り返すのが特徴です。
感染者の咳やくしゃみなどを吸い込んだり、接触することで感染し、鼻咽頭や気道に付着することで感染を起こします。

子供や赤ちゃんが感染すると、重症化しやすいのが特徴で、特に3&#123166ヶ月の乳児の重症化リスクが高く、呼吸困難による心肺停止、肺炎、脳症の合併が見られるケースもあるため注意が必要です。大人が感染すると特徴的な症状が出ないことも多いです。そのため、気づかずに感染拡大させてしまうことも少なくありません。
予防としては、予防接種を受けると80&#1231685%程度減らせます。生後2ヶ月から接種可能です。そして日頃からこまめに手洗い、うがいをし感染対策をすることが大切です。


(2025年5月20日)

  麻疹について
 麻疹(はしか)とは、麻疹ウイルスによる感染症です。麻疹ウイルスに感染すると、約10〜12日間の潜伏期間を経て、発熱・咳・鼻汁などの風邪のような症状、目やにや目の充血に続き、39℃以上の高熱と全身に発疹が広がります。また、免疫が下がりますので、同時に他の細菌やウイルスに感染し、肺炎や中耳炎などを合併することがあり、脳炎を発症することもあります。肺炎と脳炎は、麻疹による二大死因となっています。ごく稀に、麻疹にかかった数年後に発症し、最終的に予後が非常に悪い亜急性硬化性全脳炎を発症することがあります。麻疹ウイルスの感染力は非常に強く、飛沫感染に加えて空気感染するため、マスクや手洗いだけでは予防はできません。かつてはすべての子供が感染しましたが、日本ではワクチンが広く行われるようになり発症する人は大きく減りましたが、最近では免疫を持たない人も増え、海外からの旅行者によってウイルスが持ち込まれ散発的に流行します。
主に感染する経路は・・・
空気感染、飛沫感染 締め切った空間では、感染者のせき・くしゃみのしぶきが乾燥して細かい粒子となり空気中を漂い、免疫のない人が吸い込み感染する。マスクや手洗いでは予防はできません。距離的には1〜1.5mの距離であれば、感染します。
接触感染 感染者の咳・くしゃみの直接のしぶきによって、接触感染もします。
予防・対策には・・・
麻疹ワクチンの予防接種がもっとも重要です。1回しか接種していない場合や1度も接種したことがない場合は、麻疹ワクチンの予防接種をうけましょう。2回受けることで十分な免疫を獲得できます。また、麻疹に感染した人に接触した場合、72時間以内に麻疹ワクチンを接種すれば、発症を予防できる可能性があります。
感染の疑いがある場合
感染者と接触後2〜3週間程度発熱に注意。学校・幼稚園・保育園に行く前には体温測定をする。熱がある場合には、速やかに医療機関に受診する。受診する前に医療機関に麻疹かもしれないことを電話連絡する。
感染者のケアをする場合 
1)部屋は適切に換気をしましょう。
2)タオルで身体を拭くなど、常に清潔に。
3)水分・栄養補給をこまめに行いましょう。


(2025年6月13日)

  夏季休診日のお知らせ
誠に勝手ながら、以下の日を休診とさせていただきます。

8月12日(火)〜16日(土)
18日(月)〜は通常通り診療致します。
なお、日曜、祝祭日は休診日となります。

大変ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願い致します。


(2025年6月12日)


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