宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  フレイルとは 1
皆さん、フレイルという言葉を知っていますか?近年、高齢化が進む中、フレイルと言う言葉を多く聞かれるようになってきたのではないでしょうか。フレイルとは、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能に障害が生じ、心身の脆弱性が出現した状態ではありますが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態」とされ、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味しています。多くの方は、フレイルを経て要介護状態に進むと考えられています。フレイルに早く気付き、治療や予防することが大切です。
フレイルの基準には、さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが多く採用されています。Fried基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1〜2項目該当した場合は、フレイルの前段階(プレフレイル)と判断になり該当0の場合は、健常となります。
<基準の5項目>
@体重減少(6ヶ月で2〜3s以上の減少)
A疲れやすい(何をするのも面倒で週3〜4日以上感じる)
B歩行速度の低下
C握力の低下
D身体活動量の低下
フレイルには、身体的な変化だけではなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。
フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起き、また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になります。入院することで環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情のコントロールができなくなることもあります。転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。この状態に家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。


(2020年4月14日)

  フレイルとは 2
フレイルの原因には・・・
1 加齢に伴う活動量の低下と社会交流機会の減少
2 身体機能の低下
3 筋力の低下
4 認知機能の低下
5 昜疲労性や活力の低下
6 慢性的な管理が必要な疾患にかかっていること
7 体重減少
8 低栄養
フレイルの進行は・・・
加齢に伴う変化や慢性的な疾患によってサルコペニアとなり、筋肉量・筋力の減少によって基礎代謝量が低下すると、1日のエネルギー消費量が減り食欲が低下し、食事の摂取量が減少して低栄養となります。サルコペニアは、筋力の低下、昜疲労性や活力の低下を引き起こし、身体機能、認知機能の低下や精神的な面の低下も加わると、活動量が低下し、日常生活に支障をきたすようになります。日常生活に介護が必要な状態となるとますますエネルギー消費量は低下し、食事量が低下して低栄養となり悪循環を繰り返し、フレイルは進行していきます。
治療には・・
1、薬物療法(認知機能の低下・骨粗鬆症)
2、レジスタンス運動
・スクワット
1.両足を肩幅に開いて立ち、椅子の背や机などを持ちます。
2.背中が丸くなったり、踵が浮いたりしないようにお尻を下にまっすぐおとします。
3.大腿の前に力が入っていることを意識しながらゆっくり10回行う。
・上体起こし
1.両膝を立てて仰向けに寝ます。両手は頭の後ろで組みます。
2.おへそを覗き込むように頭を持ち上げます。
3.お腹に力が入っていることを意識しながら、ゆっくり10回繰り返します。
・ランジ
1.片足を前に出し膝を曲げて体重をかけていきます。
2.1の状態からゆっくり元に戻します。足を入れ替えて交互に10回行います。
3 食事療法(バランス良い食事)

予防をするには・・・
1 タンパク質・カルシウム・ビタミンDを含む食事
2 ストレッチ・ウォーキングなどの運動
3 身体の活動量や認知機能をチェック
4 感染予防(ワクチン接種)
5 持病のコントロール(主治医と相談)
6 手術の後の栄養・リハビリなど

高齢者は、加齢による身体的な衰えに加えて、定年退職、子供独立、親しい人との死別など、社会的な役割の変化が訪れます。社会的地位や親としての役割、家族や友人を喪失する経験は、気力や活力を失うきっかけともなります。社会とのつながりを持つことが億劫となり、家に閉じこもりがちになると、生活面や精神面など他の側面までもが低下をきたし、ドミノ倒しのようにフレイルが進行し、重症化していってしまいます。そうなる前に自分が得意なこと、できることを見つけて生きがい、やりがいを見出すことで自身につながっていきます。そうすることで活気や気力も沸き、いきいきと生活することで心も体も元気になります。今回フレイルについてまとめてみましたが、皆さん一人ひとりが主役となって、いつまでもいきいきと前向きに暮らし続けるために、フレイルの予防について考えていただく良い機会になればと思います。


(2020年4月14日)

  膵臓の病気について 1
皆さん、膵臓の病気と聞いてどんな病気が思い浮かびますか?膵臓がんや急性膵炎、慢性膵炎などが思い浮かぶのではないでしょうか。実はその他にも、膵のう胞やインスリノーマ、ペットボトル症候群があり、糖尿病も膵臓の病気の一種なのです。
ここ数年、膵臓の病気が多くなってきているのではないでしょうか。今回は、膵臓の病気について勉強していきましょう。

膵臓は胃の後ろ側にあり、十二指腸にくっついた状態で細長い形をしており、消化液とホルモンの分泌を行っています。食べ物が胃で消化されることは皆さんご存じかと思いますが、膵臓からも消化に欠かせない多くの消化液が分泌されており、インスリンやグルカゴンなどのホルモンも産生しています。膵臓に病気が発症すると、それらの機能が低下し、全身に様々な影響があります。膵臓の病気が増加する原因には、生活習慣病の増加と同じで、食生活の欧米化によって肉類や脂肪分の摂取量が多くなったことが挙げられていますが、もう一つの原因としてお酒の摂取量も考えられています。

*膵臓がん
肺がん・胃がん・大腸がんに次いで多くみられ、癌が発生する部位により症状は異なります。膵臓は早期発見が難しい臓器であり、その理由の一つは、膵臓が体の奥深いところにあること、そして沈黙の臓器であるため自覚症状がほとんどなく、症状が出てきた時にはすでに進行した状態が多いのです。原因には生活習慣や膵臓の病気、遺伝的な要因が挙げられます。
生活習慣には喫煙や肥満、お酒の飲みすぎが危険因子とされ、たばこやお酒の摂取量が多いほど発症リスクが高くなります。症状は、腹痛・食欲低下・体重減少・腰痛・背部痛・黄疸などが出ますが、これら全ての症状は、膵臓がんに限らず出るので診断が難しいのです。
検査は血液検査・尿検査・腹部超音波・CT検査・内視鏡的逆行性胆膵管造営検査・MRI検査です。
治療は手術療法・抗がん剤療法・放射線療法があります。癌の進行状態で治療法を選択します。


(2020年6月20日)

  膵臓の病気について 2
*急性膵炎
膵液に含まれる消化酵素により、膵臓自体が消化され炎症を起こす病気です。症状は、激痛や下痢、嘔吐を伴います。治療としては、膵臓を休ませるため絶食・絶飲にし、水分や栄養は輸液で管理します。原因がアルコールの場合、禁酒をします。胆石の場合は、それを取り除く手術が必要になります。

*慢性膵炎
慢性的な炎症を起こし細胞が線維化し、膵臓の機能が低下する病気です。慢性膵炎の機能低下は一方通行で、低下した機能は元には戻りません。治療としては、原因が多量飲酒には禁酒が絶対で、食事は脂肪分が多いものは減らし、暴飲暴食や過食は避けます。激しい痛みがある場合は、急性膵炎と同じ絶食・絶飲にします。


(2020年6月20日)

  誤嚥性肺炎について
誤嚥性肺炎は、皆さんご存知だと思いますが、もう一度予防について考えてみませんか?
物を飲み込む働きを嚥下機能と言います。通常は、物を飲み込む場合、口から食道に入りますが、誤って気管に入ってしまうことを誤嚥と言います。誤嚥性肺炎は、嚥下機能が低下したため唾液や食べ物、胃液などと一緒に気管に誤って入ってしまうことで発症します。
発症しやすいのは、嚥下機能が低下した高齢者や脳梗塞後遺症、パーキンソン病などの神経疾患、寝たきりの方に多くみられます。
原因には、肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が多いとされています。
高齢者や神経疾患、寝たきり状態の人は、口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、口腔内で肺炎の原因となる細菌が増殖しやすく栄養状態が不良であることや免疫の低下なども発症に関係します。他には、嘔吐などで食物や胃液を一度に多く誤嚥をして発症することもあります。
症状は、発熱・咳・膿のような痰が典型的な症状ですが、これらの症状がない場合もあります。何となく元気がない、食欲がない、喉がゴロゴロとなるなどの非典型型の症状もみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。
診断には、胸部X線で肺炎像の確認し、血液検査で炎症反応や白血球増加を確認します。
治療には、抗菌剤の薬物療法が基本となりますが、呼吸状態や全身状態が悪い場合には入院となります。
誤嚥性肺炎は、慢性的に繰り返し発症することもあり予後不良の場合も少なくはありません。
生活の中で注意することは、口腔内の清潔を保つことや禁煙、誤嚥防止のリハビリ、食事の摂り方や姿勢です。食事は、飲み込みやすくすることが大切で固形物が飲み込みにくい、水分が飲み込みにくいなどの個人差がある場合には、それぞれに合った工夫が必要です。食事は、噛む楽しさも大切なので細かくしすぎないよう調整したり水分を摂る時にむせるようであればとろみをつけたりして飲み込みやすいようにする。料理内容に合わせ調理法の工夫も大切です。食事をする姿勢も食後の姿勢も大切です。
肺炎球菌のワクチン接種を受けることをお勧めします。


(2020年8月18日)

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