宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  デング熱について
昨年、約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認されました。今年も流行の可能性は十分にあります。デング熱について、改めて知っておきましょう。

(1)デング熱とは
デング熱は、デングウイルスを保有する蚊に刺されることにより生じる感染症で、比較的軽症のデング熱と重症型のデング出血熱の2種類があります。人から人へ直接感染することはありません。

(2)国内における媒介蚊
◇媒介蚊……ヒトスジシマカ(主たる媒介蚊はネッタイシマカですが日本に常在せず)
◇生息範囲…秋田県、岩手県以南
◇活動時間…日中
◇活動場所…木陰やヤブの中が多い

(3)デング熱の流行地
熱帯や亜熱帯の全地域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米での報告が多く、その他にもアフリカ、オーストラリア、南太平洋の島でも発生があります。

(4)症状
◇デング熱
感染後3〜7日程度の潜伏期間を経て、突然の発熱により発症します。
頭痛、筋肉痛、目の奥の痛みなどが主な症状として現れ、さらに腹痛、吐き気、嘔吐、全身倦怠感が現れることもあります。また、発熱してから3〜5日目には体に発疹が出ることもあります。
これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
◇デング出血熱
デングウイルスに感染した人のうち、最初はデング熱とほぼ同様に発症し経過しますが、熱が平熱に戻るころに、血液中の液体成分(血漿)が血管からもれ出したり、出血の症状が現れたりすることがあります。この病気はデング出血熱と呼ばれ、適切な治療を行わないと死亡することがあります。
血漿のもれは胸水、あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、注射部位からの出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿のもれが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群とも呼ばれます。

(5)治療
デング熱に対する治療薬はなく、対症療法が中心です。
デング熱・デング出血熱の発熱に対しては出血傾向を増悪させる可能性があるため、アスピリンを使用してはいけないことになっており、アセトアミノフェンなどが用いられます。
デング出血熱に対しては、輸液療法が中心となります。

(6)予防
デング熱の発症や感染拡大を防ぐためには、ヒトスジシマカの発生源(水たまりなど)への対処が重要となります。蚊にさされないよう、日中の屋外活動を控え、肌の露出を避け、虫よけスプレーを使用するなどの対策が必要です。
また、デング熱は自覚症状が現れない人も多いので、流行地から帰国した際には蚊にさされないように注意しましょう。旅行先のデング熱の情報は事前に確認しておきましょう。

(平成27年7月23日)

  AEDとは何でしょう?
AEDとは自動体外式除細動器のことをいいます。救急の現場で一般の人でも、簡単に安心して除細動(電気ショック)が行うことができるよう設計されています。
小型の器械で、体外(裸の胸の上)に貼った電極のついたパッドから自動的に心臓の状態を判断します。もし心室細動という不整脈(心臓が細かくブルブルふるえていて、血液を全身に送ることができない状態)を起こしていれば、強い電流を一瞬流して心臓にショックを与えること、いわゆる電気ショック行い、心臓の状態を正常に戻す機能を持っています。
器械の電源を入れれば音声が使い方を順に指示してくれるので、誰でもこの器械を使って救命することができます。
AEDは、駅や市役所、ショッピングモールなどの公共施設や学校などに設置されています。

心室細動を起こすと、1分経過するごとに約10%、助かる確率が減っていくといわれています。救急車が現場に到着するまでの時間はおよそ8分かかるとされており、救急車を待っていたのでは助かる確率がかなり低くなります。119番に連絡するまでに数分かかったとすれば、さらに助かる可能性は低くなるのです。
しかし、AEDの登場で、人が倒れた場所の近くにこのAEDがあって、そこにいる人たちがすぐに操作をすれば、助かる可能性が高くなりました。

AEDは初めての人でも簡単に使えるように設計されています。
○手順1
電源を入れると音声の指示が始まります。種類によってはフタを開けると電源が入るものもあります。
○手順2
右胸の上部(鎖骨の下)と左胸の下部に電極パッドをはります。
※胸が汗などでぬれている場合は拭き取っておきます。シップ薬などもはがしておきます。
※ペースメーカーなど皮膚の下に何か埋め込まれている場合はそこを避けてはります。(皮膚の下に硬いこぶのようなものがあります。)
※就学前の子どもには、子ども用パッドか小児モードに切り替えます。ない場合は大人と同じパッドを使います。
○手順3
AEDが自動的に心電図を解析し、音声などで指示を出します。電気ショックが必要な場合は「電気ショックが必要です」と音声が流れ、充電が始まります。
充電が終わり、「ショックボタンを押してください」の音声や充電終了の連続音が流れ、ショックボタンが点滅します。
「離れて」とまわりの人に注意し、誰も触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
※AEDはまた心電図を解析して、2分ごとに電気ショックが必要か否か指示をしてくるので、それに従います。
※電気ショックが必要ない場合にはボタンを押しても電気が流れませんので、操作を間違って電気が流れるようなことはありません。
※AEDと併せて心臓マッサージ(胸骨圧迫)を行うことも重要です。

AEDは初めての人でも使うことができますが、人が倒れたときなどは、なかなか冷静に動けないものです。AEDの使い方だけでなく119番への通報や心臓マッサージ(胸骨圧迫)なども含め、消防署や講習会などで一度、救命救急の方法を経験してみませんか。

(平成27年8月25日)

  カンピロバクターによる食中毒について
「カンピロバクター」はサルモネラ菌やO157、ノロウイルスなどに比べて、あまり聞き慣れない食中毒の菌かもしれません。しかし、最近、増加傾向にある菌で、年間2000人から3000人もの患者が出ています。これは、ノロウイルスに次いで2番目に多い数字なので、決して侮れません。

1.カンピロバクターとは?
ニワトリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの動物の消化管内に高率に住み着いている食中毒をおこす細菌です。
菌は乾燥に弱く、室温では長く生きることはできませんが、温度が低く湿潤していて、酸素にさらされないほど生存日数が長くなります。そのため、冷蔵庫内はカンピロバクターの生存に好ましい環境と考えられます。

2.感染経路
食中毒集団発生で原因食品が判明した事例では、肉類が最も多く、大半は鶏肉およびその内臓肉です。
牛レバーの生食による例も見られます。
その他に、ペットからや、乳幼児収容施設での流行、井戸水や湧水、簡易水道水などの消毒不十分な飲用水による感染事例もあります。

3.主な症状
潜伏期間は1〜7日(平均2〜3日)で、他の食中毒と比較して長いのが特徴です。
カンピロバクターに感染すると、比較的少ない菌数でも腸炎を発症します。
主な症状は下痢(水様便、まれに血便や粘液便)、腹痛、発熱です。この他、頭痛、悪寒、倦怠感、筋肉痛などが現れることもあり、初期症状は風邪と間違われることもあります。
2〜5日程度で回復しますが、まれに感染後にギラン・バレー症候群(急速に手足の筋力が低下し、腱反射の消失を主徴とする病気)などを起こすことがあります。

3.治療方法
軽い症状の場合では、抗菌薬治療をしなくても自然に軽快することも多くあります。
急性腹症、他の原因による食事療法などと見分けながら、食事療法、脱水の予防・治療などを行います。
整腸剤は投与しますが、腸の蠕動を抑えるような薬剤は使用しないのが原則です。

4.予防法のために
カンピロバクターは、低温に強く、低温環境下でより長時間生存することができます。
カンピロバクターの最大の弱点は「熱」です。
肉の色が変わるまできちんと加熱することで菌は死滅します。目安は、65度以上の熱で数分間(中心の温度が75度以上で1分間)しっかり火を通すことが大切です。特に菌が多いとされる鶏肉は注意が必要です。ささ身の湯通し程度では死滅しないと考えてください。
また、カンピロバクターはわずかな数であっても感染する恐れがあるので、二次感染にも注意しましょう。生肉と他の食品を扱う調理器具と区別すること、生肉を扱った後は手指を十分に洗浄することも重要です。
他にも、未殺菌の飲料水(野生動物の糞などで汚染される可能性のある井戸水など)を飲まないこと、小児ではイヌやネコなどの保菌動物への接触で感染することもあるので、便などに触らないなどの注意が必要です。

(平成27年9月25日)

  溶連菌感染症について
空気が乾燥し、気温が低くなるこれからの季節。
冬季に流行するのはインフルエンザだけではありません。喉の痛みを伴う「溶連菌感染症」についても知識を深めておきましょう。

1.溶連菌感染症とは
A群β溶血性連鎖球菌による感染症です。喉に感染して咽頭炎や扁桃炎を引き起こします。
風邪に似た症状ですが、治療には抗生物質の服用が必要になります。
小学生から中学生にかけてよくみられる病気ですが、大人も感染します。
学校などの集団感染や、家庭内での家族感染も多くみられます。

2.主な症状
流行時期は冬季・春から初夏にかけてです。
主な感染経路は、感染している人の咳・くしゃみなどによる飛沫感染です。
潜伏期間は2〜3日で、突然に発熱し、熱は38〜39度の高熱になり、喉の痛みや扁桃炎を起こします。
その後に赤い発疹が首、胸、手足などに出始め、全身に広がることもあります。
また、溶連菌感染症の特徴的な症状として、舌にイチゴのような赤いプツプツができる「イチゴ舌」と呼ばれる症状が現れてきます。

3.治療方法
抗生物質を10日間内服します。
抗生物質は医師の指示どおりきちんと飲みきることが大切です。
当院ではまず、半分の日数分処方します。その後、薬がなくなる前にもう1度来院診察し、残りの日数分処方します。抗生物質が効いていることを確かめるため2度に分けて処方しています。
また、発病してから3週間後に尿検査をし、尿に異常がないことを確認します。

4.合併症について
合併症としては中耳炎、気管支炎、リンパ節炎などがあります。
また、近年では減少傾向にありますが急性腎炎を起こすこともあります。
全身の関節が痛みを伴った炎症を起こしたり、心内膜炎を発症することもある、リウマチ熱も主な合併症のひとつです。

5.家庭の中で気をつけること
(1)食事について
のどに刺激の強い、熱い・辛い・すっぱいものは避けましょう。
食べ物は、のどごしがよいゼリーやヨーグルト、消化の良いおかゆやうどんにしましょう。
食べるのがつらい場合は水分だけでもしっかりしましょう。(ただし、炭酸は刺激が強いため×)
(2)入浴について
熱が下がっていれば、入浴しても問題ありません。
発疹が出ている場合、お湯を熱くするとかゆみが強くなりますので、温めすぎないようにしましょう。
※家族に感染者がいる場合には多く接触することは避け、手洗いうがいを徹底し、マスクの着用をしましょう。

6.登園・登校について
抗生物質が効いて(2日後)熱が下がり、症状が落ち着けば、登園・登校は可能です。

(平成27年11月25日)

  マイコプラズマ肺炎について
1.マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマとは、細菌より小さく、ウイルスより大きく、細菌にもウイルスにもない性質をもっている微生物の名前です。
ウイルスは人の細胞の中でしか増えませんが、マイコプラズマ肺炎はウイルスとは異なり、栄養があれば人の細胞外でも増えていきます。

2.感染経路と潜伏期間
感染から発症までの潜伏期間は、1〜3週間ぐらいで、4週間に及ぶこともあります。
咳や痰などからの飛沫感染のため、学校や会社など集団生活をしている環境で感染が拡がってしまいます。

3.症状について
主な症状は以下の通りです。
・ノドの痛み
・鼻水・鼻づまり
・37℃程度の微熱から39℃以上の高熱
・咳・痰がらみの咳(解熱後も3〜4週間ほど続く)
・喘息の悪化・喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸)
・呼吸がしにくい呼吸困難
マイコプラズマ肺炎は主に気道に感染します。呼吸系に感染すると上気道炎、咽頭炎、気管支炎、肺炎になります。肺炎球菌による肺炎とは異なるため、「非定型肺炎」「異型肺炎」と呼ばれています。

聴診しても肺炎を疑う音が発生しないため、肺炎かどうかは胸部X線で診断します。
本来黒く見える肺が大きく白くなりますが、胸部X線だけではマイコプラズマが原因の肺炎か確定することができません。
断定するためには血液検査を行い、マイコプラズマ肺炎に対する抗体を検査するのが確実です。

もともと喘息がある場合、マイコプラズマ肺炎によって咳がひどくなり、喘息発作が引き起こされてしまうことが多いです。
合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群など多彩なものが含まれます。

4.治療について
マイコプラズマ肺炎に効く以下の抗生剤を使用し治療を行います。
・マクロライド系抗生剤(エリスロシン、クラリス、ジスロマックなど)
・テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシンなど)
・ニューキノロン系抗生剤
効果のある抗生剤を3日間程度服用すると、マイコプラズマはかなり減少し、感染力は低下します。

マイコプラズマ肺炎は1度かかっても一生免疫がつくわけではありません。
学校保健安全法によると、病状により学校医その他の医師において、感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止措置が必要を考えられています。

(平成27年12月22日)

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