宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  脂肪肝について
みなさんは、不規則な生活を送っていませんか?生活習慣の乱れから起こる生活習慣病がさらに進むと、脂肪肝という病気になる恐れがあります。そこで今回は脂肪肝について勉強していきましょう!

脂肪肝とは、脂質や糖質の取りすぎや運動不足などにより、中性脂肪が肝細胞の内部に過剰に蓄積した状態をいいます。
脂肪の割合が肝細胞全体の30%を占める場合に、脂肪肝と診断されます。

脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝があります。
アルコール性脂肪肝はお酒のアルコールを分解する際に中性脂肪に合成され、肝臓に蓄えられた状態をいいます。
非アルコール性脂肪肝は肥満や生活習慣病(糖尿病、脂質異常症)が原因です。肥満になると肝臓での脂肪の燃焼が悪くなるので、脂肪が肝臓に蓄積されていきます。糖尿病ではインスリンの働きが鈍くなるため脂肪が分解されにくくなり、肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。また、極端な食事制限や、無理なダイエットを行った場合、体内のたんぱく質が不足して脂肪が排泄しにくくなり肝臓に溜まってしまうこともあります(低栄養性脂肪肝)。

脂肪肝の状態が進行するとその後に脂肪性肝炎、肝硬変、肝がんなどの重篤な病気を発症することもあります。脂肪肝を診断するためには、肝臓の超音波検査、CTが重要です。肝炎などに進行すると肝生検の検査が必要です。

不規則な生活習慣を見直し、生活習慣病を改善することで、肝臓の状態が改善することも期待できます。また、アルコールの飲みすぎを控え、バランスの良い食事、定期的に適度な運動、十分な休養と睡眠、体重管理が大切です。健康診断や人間ドックなどで生活習慣病と指摘された方は、脂肪肝の可能性を念頭に入れて、主治医の先生と相談することをお勧めします。


(2020年11月17日)

  大腸憩室炎
皆さん、大腸憩室炎と聞いたことはありませんか?
大腸内視鏡を受け、ご自身に憩室があるという方もいるかと思います。

憩室とは、消化管の壁が外側に窪んだ部分を言います。
消化管には、食道・胃・小腸・大腸があり、いずれにも憩室はできますが、中でも多いのは大腸です。
憩室ができる状態を憩室症と言いますが、症状が全くないこともあります。
憩室炎は、大腸菌などの腸内細菌が繁殖して感染症を起こした状態です。

症状は、強い腹痛と発熱、吐き気、嘔吐などがでます。
腹痛は、比較的狭い範囲が痛むことが多く、歩いたり寝返りをしたりすると痛い部分に響くのでじっとしている方が楽ということが特徴です。大腸は、お腹全体に広がっているので憩室炎の痛みがでる部位は決まってはいません。

検査には、腹部エコーや腹部CTを行います。右下腹部の憩室炎には、虫垂炎と全く見分けがつかないため、画像診断が必要になります。

治療には・・
抗生剤の点滴で治りますが、ただし、治癒するまでには時間がかかることが多く、入院が必要な場合もあります。
食事をすることで憩室炎が悪化するため、絶食する。症状によっては水分制限もあります。絶食期間などは、血液検査結果や病状の状態により様々です。
軽症の場合は、抗菌薬の内服による治療になります。憩室炎を一度経験した人は、憩室がある以上は憩室炎の再発の可能性もあります。

大腸憩室ができる原因は、はっきりわかっていません。ただ、憩室は大腸内の圧力の高まりにより生じる可能性があるため、食物繊維をしっかりとり、便秘を解消することが大切です。
憩室炎の危険因子に喫煙と肥満が挙げられています。
憩室炎は、大腸がんの原因にはなりませんが、憩室炎の精密検査をきっかけに大腸がんが発見されることもあります。


(2020年12月17日)

  ヒートショックについて
皆さん、寒い季節には一日の終わりにお風呂がリラックスタイムとなっている人も多いかと思いますが、そんな癒しの時間が、冬の時期には一歩間違うと命の危険にかかわることもあります。原因には、温度差による血圧の変動を起こすヒートショックによるものです。

ヒートショックとは、温度差により血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることを言います。血圧の乱高下に伴い、脳内出血や心筋梗塞・脳梗塞などを引き起こします。血圧は寒さに対応するため血圧が上昇し、体が温まると血圧は下降します。
ヒートショックの起こりやすい時期は、11月から2月が多発しやすとされています。浴室や脱衣所の温度差、長風呂などは、危険が高まります。また、トイレや洗面所、ゴミ出しなどの短時間外に出る時、起床時やサウナなども起こすこともあるので温度差がある場所では、注意が必要です。
影響が出やすい人は、65歳以上の高齢者、高血圧、糖尿病、動脈硬化、肥満、睡眠時無呼吸症候群、不整脈、一番風呂の人、熱いお風呂が好きな人、飲酒後にお風呂に入る人、30分以上お湯に浸かる人、浴室に暖房設備がない場合などは、注意が必要です。

対策として、脱衣所と浴室の温度差がある場合、暖房があれば入る前に付けて温めたり暖房がない場合は、お風呂のふたを開けて浴室のドアを開け全体を温める。浴槽の温度を高めに設定をすると心臓に負担がかかるのでぬるめの温度にして入り少しずつ熱めのお湯を足して徐々に温度を上げていきましょう。高齢者の入浴は、時々家族の方が声をかけてあげましょう。入浴する前に血圧を計ることや水分補給もしてから入浴しましょう。長湯もさけて下さい。長湯をすることで心臓に負担がかかり、疲労感が増し立ち上がった時に転倒することもありますのでゆっくり立ち上がるようにしてください。浴槽にふたを置くことでお風呂の中で気を失ってもふたがあることで助かる可能性もあります。入浴後も油断は禁物です。温まった体が、入浴後急に冷えて、その温度差に耐えられないことがありますので注意が必要です。


(2021年2月1日)

  RSウイルスとは?
RSウイルス感染症は、主に2歳以下の乳幼児の気管支の末端(細気管支)に
炎症を起こす感染症で細気管支炎や肺炎を引き起こします。一般的には、1歳までに50〜70%近くの子どもが感染し、3歳までにはほぼ全ての子どもが免疫を獲得するとされていますが乳幼児から大人まで、どの年代の人にも感染する可能性はあります。
毎年、秋から初春にかけて流行しますが、季節を通して感染することがありま
すが、今年は例年に比べて、大きな流行がみられます。
潜伏期間   4〜6日

初期症状  ・発熱
      ・喉の痛み
      ・透明な鼻水
      ・全身倦怠感
      ・食欲低下(哺乳量低下)

悪化した症状  ・激しい咳
        ・喘鳴(ゼーゼーと音がする呼吸)
        ・陥没呼吸(息を吸うとき胸がへこむ)
        ・呼吸困難症状(呼吸回数が多い、呼吸が浅くなる)
        ・唇が紫色になる(チアノーゼ)
        ・急性脳症による痙攣や意識障害 

感染経路   ・飛沫感染
       ・接触感染

治療には、特別な治療方法はありません。高熱には、解熱剤、咳に対しては咳止めなどの対症療法になります。
高熱が出た時には脱水症状にならないようにしっかり水分補給をして下さい。軽症の場合は特別な治療は必要はなく、自然に治ることがほとんどですが、重症化した場合は入院治療が必要になります。

学校・幼稚園・保育園の登校・登園の目安
一定の明確な出席停止期間は定められてはいませんが、各学校、教育・保育施設により対応が異なります。RSウイルス感染症は、流行状況により第三種の感染症として扱われることがあります。
目安
@症状により学校医やかかりつけ医において感染の恐れがないと認めるまで
A発熱・咳などの症状が安定し、全身状態が良い場合

感染予防 @マスク着用 A手洗い・手指の消毒 B触れた物・場所の消毒などが推奨されています。


(2021年7月16日)

  虚血性大腸炎について
暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
無事?オリンピックも開催されましたが、コロナ禍のため、いつもとは違ったオリンピックの形となり、記憶に残るオリンピックとなったのではないでしょうか。もうしばらく暑さが続きますがどうぞご自愛ください。
さて、今回は虚血性大腸炎について取り上げたいと思います。 

虚血性大腸炎とは
虚血性大腸炎は、大腸の粘膜の中の血管に十分な血液が通らなくなることで生じる病気です。血管に十分な血液が通らなくなることを虚血といいます。
一過性・狭窄型・壊死型と重症度が変わります。一過性のものは安静を保つことで回復が望めます。狭窄型と壊死型では手術が必要になることもあります。

原因
最も頻度の高い原因は「便秘」です。便秘で強くいきんで腹圧がかかった際に大腸粘膜への血流が途絶えるために起こります。動脈硬化を起こす高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病によって発症リスクが上昇します。こうしたことから高齢者(便秘がちな女性)に多く、時期的には脱水の多い真夏や寒い冬の時期での発症が多くなっています。便秘や排便後に腸壁が強度に収縮することで血流障害が起こり、虚血になることもあるため、若年者で発症する場合もあります。

症状
突然の強い腹痛と下痢で発症し、やがて下血が続くのが特徴です。こうした症状は、炎症性腸疾患や憩室炎など幅広い大腸疾患で起こり、それぞれ治療法が異なります。こうした症状がありましたら、診察を受けて適切な治療を受けて下さい。

治療
一過性型の場合(軽症も含む)、腸の安静を保つために絶食が必要になります。できるだけ大腸に負担がかからないような消化のいい食事管理を行い、内服薬で加療し経過観察します。場合によっては脱水にならないよう、点滴をすることもあります。一般的に1〜2週間で状態が安定してきます。その他、炎症の程度を評価するための血液検査や大腸カメラ検査、腸壁の肥厚や周辺組織の状態を確認するために超音波検査を行います。


(2021年8月12日)

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