宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  過敏性腸症候群について
過敏性腸症候群って、時々聞く病気ですが、今回はこれについて勉強しましょう。
過敏性腸症候群とは
通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌以上などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群です。
排便後に痛みが軽減されるという特徴があります。

原因
はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレス、過度な緊張、腸内細菌そうの変化などが関係しているのではないかと考えられています。

過敏性腸症候群の種類
大きく3つに分けられます。
1 下痢型
 激しい腹痛とともに、水っぽい便が出る下痢が、1日に何度も起こります。外出するのが億劫になるほど症状に悩ませるケースもあります。
2 便秘型
 排便時に腹痛が起こり、強くいきまないと便が出なかったり、コロコロと小さな便しか出なかったりして、残便感に悩まされる場合があります。また、慢性的に便秘でストレスを感じるとより悪化する傾向にあります。
3 混合型
 下痢型と便秘型の両方の特徴を併せ持ちます。便が不安定に変動して、下痢と便秘を繰り返すのが混合型です。一般的に多いタイプとされています。
下痢型は男性に多く、便秘型・混合型は女性に多い傾向にあります。

治療について
生活習慣の改善 … 心理的ストレス、過度の飲酒、偏食や早食い、睡眠不足、運動不足などの生活習慣の乱れが発症や悪化に大きくかかわっていると考えられています。
食事療法 … 高脂質食、カフェイン類、香辛料を多く含む食品、人口甘味料、乳製品
(乳糖不耐症の方)などは増悪因子となるので控えるのが望ましいです。
薬物療法 … 排便状態により治療薬は変わります。

ストレスの多い現代社会において過敏性腸症候群は、誰にでも起こる可能性があります。
症状が慢性的に続いてるようであれば一度消化器内科へ受診し症状を詳しく相談することをお勧めします。


(2022年12月19日)

   AI(人工知能)内視鏡について
AI(人工知能)が、医療の分野でも活用されるようになって来ました。当院においてもAI内蔵の大腸内視鏡をいち早く導入し、大腸がんやポリープの検出力や鑑別力が著しく向上してまいりましたので、ここに紹介させて頂きます。
従来の白色光による内視鏡観察に加えて近年、粘膜の表面だけをを可視化する波長を選別してレーザー光を当て細い血管や表面の構造を詳しく観察するBLI(Blue LASER lmaging)と短波長狭帯域光と色調拡張技術を組み合わせることによってわずかな色の差を強調し、観察をするLCI(Linked Color lmaging)があります。消化管粘膜の観察では、正常な粘膜と炎症のある粘膜を見分けなければなりません。
そこに今回、特殊光源(BLI及びLCI)を利用するだけでなく、新たにAI技術を活用して、大腸ポリープなどの病変の検出および鑑別をサポートする内視鏡診断機能が加わりました。

現在、大腸がんは、がんの中でも罹患者数第1位で死亡者数第2位と高い割合を占めています。しかし、初期のがんであれば内視鏡手術や外科手術で切除できる可能性が高く、早期発見が重要とされています。大腸がんの検査は内視鏡検査が一般的ですが、平坦な病変や微小な病変は発見が難しく、発見率を向上させることが課題となっていました。また、切除する必要が比較的低いとされている非腫瘍性の病変の切除件数を減らすことで患者様への負担が減ることや、内視鏡検査による正確な大腸ポリープ診断が求められています。
AIの特徴には、大腸ポリープなどの[病変検出支援機能]と[疾患鑑別支援機能]で構成されています。
病変検出支援機能には、内視鏡画面内にポリープなどの病変と疑われる箇所を検出すると、対象エリアを枠で囲い表示するとともに、検出音を鳴らします。
疾患鑑別支援機能は、ポリープなどの病変と疑われる箇所について、腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別を表示します。鑑別結果が腫瘍性の場合には黄色で非腫瘍性の場合には緑色と表示します。
人工知能であるAIの技術を用いて、大腸内視鏡時における癌やポリープの検出や鑑別を豊富な経験・知識を持つ医師のダブルチェックにより患者様の負担を少なく正確な検査を行ってまいります。


(2023年1月17日)

  動悸について
動悸とは意識しない自分の心臓の拍動を色々な形で感じる状態をいいます。感じ方はドキドキと早く感じる場合、ドクンドクンと鼓動が大きく感じる場合、ドキドキッ、ドキッと一瞬胸が詰まるような動悸などがあります。動悸はたまに心臓の重い病気の初期症状にあたる可能性がありますので、今回は動悸について勉強しましょう。

なぜ動悸が起こるの?
緊張したり、飲酒をしたりして動悸の症状が出るのは、外部から受けた刺激で体が興奮して交感神経が活発に働くからです。人間には緊張状態や興奮状態のときに働く交感神経と、横になっているときやリラックスしているときに働く副交感神経という2つの神経によって支配される「自律神経」があり、この自律神経のバランスが崩れると体に不調をきたします。交感神経が活発に働くと、強い外部刺激から体を守るために、防御反応がでますが、その反応のひとつが一時的な動悸の症状です。

動悸の診断
いつから始まり、継続しているのか、どのようなときに起こるのかなどが大切になってきます。実際の診断では、聴診をして、心臓に病気があるか可能性を判断します。ほかにも、むくみや眼瞼のチェックを行う場合もあります。もし心臓の病気を疑われる場合は心電図や心臓エコーを用いて心臓の血流を診たり、24時間心電図をつけて運動をしていただいたりすることもあります。心臓の病気以外でも血液検査や甲状腺のホルモン量を測定することがあります。

治療方法
動悸のすべてが治療を要するわけではありません。安静にして治る場合もありますが、それぞれの症状に応じた治療が必要です。不整脈が原因で治療が必要な場合は、薬物療法や不整脈の原因となっている部分を焼くカテーテルアブレーションやペースメーカーを埋め込む場合があります。

動悸を感じたら
1.誘因があるか
2.自覚症状と持続時間
3.突然始まり突然止まるか、あるいは徐々に始まり徐々に止まるか
4.脈拍数はどの位か
5.脈拍の規則性(規則正しいか不規則か)

脈の様子をみるには、普段から脈の測り方を練習して、動悸など異常を感じたときにチェックする習慣をつけておくことが大切です。脈の測り方は、左右どちらかの手のひらを上にして、手首と親指の付け根のところを反対側の手の人差し指と中指、薬指の軽く触れて測るのが基本です。そのときに、触れる方の手の親指を反対側に回して手首を支えると測りやすくなります。

不整脈以外の疾患と動悸
貧血、更年期障害、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症でも動悸が現れます。息切れやめまいがあれば貧血、ホットフラッシュなどがある場合は更年期障害、手の震えや体重減少などをともなう場合は甲状腺機能亢進症など、症状と血液検査などで診断し、治療を受ければ改善します。

疾患以外が原因で起こる動悸
動悸は疲労や睡眠不足、ストレスによって起こる場合もあります。また、薬の副作用、脱水症状、アルコールなど、さまざまな原因で動悸が起こる可能性があります。受診の際には服薬履歴がわかるお薬手帳などをご持参ください。


(2023年2月21日)

  機能性ディスペプシアについて
機能性ディスペプシアは、原因となる病気が見つからないものの、胃もたれや胃痛などのさまざまな腹部症状が現れる病気です。薬による治療や生活習慣の見直しにより改善が期待できるとともに、漢方療法も効果があるといわれています。食事をしたものがうまく十二指腸(胃と小腸をつなぐ臓器)に流れていかない状態“胃もたれ”の対策を中心に、機能性ディスペプシアとはどのような病気であるのかご紹介したいと思います。

機能性ディスペプシアとは
血液検査や上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の検査をしても原因が分からないものの、食べ物がスムーズに消化されず、胃もたれや胃の痛み、食欲低下などのさまざまな症状が続く病気です。
機能性ディスペプシアの主な症状
@胃もたれ
A早期飽満感(食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになる)
B心窩部痛(みぞおちの痛み)
C心窩部灼熱間(みぞおちが焼けるような感覚)など
ただ、1つの症状だけで受診する方は少なく、複数の症状が重なって現れているケースが多くみられます。それぞれの症状は、胃の「運動不全」、「知覚過敏」により発症すると考えられています。胃の「運動不全」により、胃が十分に広がらず食べ物が食べられない。十二指腸へ食べ物を送ることができずに、食後のもたれを感じることもあります。胃が様々な刺激に対して過敏になる「知覚過敏」の状態になっているのと、少量の食べ物が胃に入っただけで胃の内圧が上がり、早期飽満感を起こすこともあります。また胃酸や食べ物の刺激によって、痛みや灼熱感が起こります。
症状が続く場合胃カメラ検査を行い、胃がんや、胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患がないか、ピロリ菌感染の有無を調べ、症状に応じて腹部エコー検査やCTなどの画像検査を行う場合もあります。治療は、胃酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬、漢方薬など考えられる原因に応じて治療していきます。
日常生活でできる胃もたれの対策
消化管の運動には、体の機能を調整する自律神経(交感神経と副交感神経)が関わっています。自律神経のバランスを整えるためにも規則正しい生活、十分な睡眠を心がけましょう。さらに、1日30分程度ウォーキングするなど、適度な運動をすることも大切です。食事に関しては一度にたくさん食べず、腹八分目くらいに抑えるとよいでしょう。
ご自身の症状の原因が、どのような部分にあるのかを判断するのは難しい場合があるかもしれません。気になる症状があり、食生活や生活習慣を見直しても改善されない場合は、受診を検討していただければと思います。


(2023年5月15日)

  肺非結核性抗酸菌症
皆さん肺非結核性抗酸菌症という病気は聞いたことはあるでしょうか。
結核は皆さんご存じの病気だと思いますが、肺非結核性抗酸菌症は知らない方も多いのではないでしょうか。
最初は自覚症状がない事が多い病気です。慢性疾患で当院を通院中の患者様がしばしば併発する疾患でもありますので、どんな病気なのか知っておきましょう。


肺結核との相違点
肺結核は、結核菌が引き起こす病気で人から人に感染しますが、肺非結核性抗酸菌症は人から人に感染しません。
感染源
土壌、水、塵埃などの自然環境に広く存在する環境菌で、水系、土壌などに広く分布しています。人の生活環境でも、水道水から菌が分離され、浴室、シャワーヘッドなどに定着することもあります。ほとんどの人が経口的にあるいは吸入することによって、体内に取り込んでいます。
症状
症状がなく、検診の胸部レントゲン検査などで偶然に発見される事が多いです。
一方で、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、倦怠感などの症状がでる事もたまにあります。
診断
画像検査(レントゲン、CTなど)・・・画像的に繊維空洞型と結節、気管支拡張型に大きく分類されます。
細菌学的検査・・・喀痰の中に2回MAC菌が培養で確認されれば確定します。
治療
数年から10年以上と長い年月をかけて、ゆっくりと進行する病気で、自然軽快することもあるため、軽症の時は経過観察することもあります。
症状や肺の影が悪化する場合は、薬による治療を行う。3種類の抗菌薬を2〜3年間飲み続ける必要があります。
抗酸菌免疫には、栄養状態が大きく関与します。夏バテや風邪を引いて体重減少がないよう気を付けましょう。
かかりやすい人
陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎など既存の肺疾患を有した方に多く見られていましたが、最近では、基礎疾患の無い中高年の女性に多く見られます。
  
結核菌が年々減少しているのに対し、肺非結核性抗酸菌症は増加しています。
日和見感染症のひとつと考えられており、健康の人では感染症を起こさないような弱い病原体が原因で発症する感染症です。身体の抵抗力や免疫力が低下し、病原菌の増殖が抑えられなくなると、病気が進行していきます。
抵抗力、免疫力を増強するために、十分な睡眠過食や偏食は避け、栄養バランスのとれた食事を心がけるなど、規則正しい生活、心身のリフレッシュが重要です。
人から人への感染はしないので、家族への伝染の心配はなく、周囲の人への特別な配慮は必要ありませんが、自宅内で菌が住み着きやすい場所、浴室、シャワーヘッドなど定期的に掃除をし、清潔に保つように心がけて下さい。
症状が無い方が多くおられます。
健康診断などで定期的に胸部レントゲン検査を受けましょう。

※日和見感染とは…正常の宿主に対しては病原性を発揮しない病原体が、宿主の抵抗力が弱っている時に病原性を発揮して起こる感染症です。


(2023年6月20日)

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