宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  大腸がんを早期に診断するために
 近年食生活の欧米化に伴い、大腸がんが増えており、大腸がんによる死亡率は男性2位、女性1位となっています。
 大腸は消化吸収された残りの腸内容物を貯留し、水分を吸収しながら大便にするところです。
 大腸は盲腸より始まり、上(頭側)に向かう部分が上行結腸、次いで横に向かう部分が横行結腸、下に向かう部分が下降結腸、S状に曲がっている部分がS状結腸、その後直腸となり、肛門へ至ります。長さ1.5〜2m程の臓器です。大腸がんはこの全ての部分にできる可能性があります。腺腫という陽性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。特にS状結腸、直腸に発生します。
 症状は、がんのできる部位によって異なりますが、血便、下血、便秘や下痢を繰り返す。便が細くなったり、便が残る感じがする残便感や、お腹の張りを訴える人もいます。また体重減少や貧血によるふらつきを訴える人もいます。しかし、早期癌の段階ではほとんど症状がなく、進行癌になっても症状が出ない事もしばしばあります。
 関連する疾患として、遺伝性の病気である家族性大腸腺腫症や、大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる潰瘍性大腸炎や、クローン病などの病気がある人は大腸がんになる可能性が高くなることが報告されています。
 ただし大腸がんと診断されても、早期に発見できれば完治することも可能です。一般的には本当の早期には自覚症状がありません。無症状の時に発見することが重要となり、早期発見早期治療が大切となります。
 早期発見のためには、大便の潜血反応がよく知られています。これは食事制限無く、簡単に受けることができ、便を提出すれば検査できます。もっと詳しく調べるには、食事制限、下剤の内服など前処置が必要ですが、大腸内視鏡検査を受けることもできます。いずれにせよ早期発見のために症状があればもちろんですが、症状が無くても定期的に便の検査を受けることをお勧めします。何か気になる症状がありましたらご相談下さい。


(2023年9月12日)

  糖尿病性腎症について
糖尿病性腎症とは、名前の通り糖尿病の合併症です。糖尿病腎症は、糖尿病が発症してすぐに症状が出ることはありませんが、高血糖の状態が長く続いた場合には腎臓が傷んでしまうことで発症してしまうことがあります。

腎臓の働きは、@体の水分量の調節A老廃物の排泄B電解質のバランスを保つC血液の弱アルカリ性に保つD血圧の調整E血液を産生する為のホルモンの分泌F骨を作るビタミンDを活性化などがあります。

糖尿病腎症の発症初期は無症状のことが多いですが、腎機能が低下すると調節機能が弱まり様々な症状や合併症がおこります。腎臓機能の低下が進行すると、末期腎不全に至り腎臓の機能を代行する治療である透析療法が必要になります。
症状は、糖尿病腎症に限らず腎臓病は自覚症状があまりないため気づきにくいことがあります。進行すると体の余分な水分や老廃物を尿として体の外に排泄する機能が弱まり、むくみや気分が悪くなったりするなどさまざまな症状を引きおこし、さらなる合併症を起こすことがあります。
検査は、定期的に尿検査や血液検査を行います。尿検査でわかることは、腎臓は血液をろ過し、体に必要なものを残し不要なものを排泄する機能を持っています。アルブミンやたんぱく質などは体に必要な栄養素なので正常な腎臓から尿に排泄されることはありませんが、腎臓が傷んでいるとアルブミンやたんぱく質が多く排泄されます。血液検査では、クレアチニンという項目で分かります。この尿検査や血液検査の結果から腎症の進行状態が5期に分けられます。第1期(腎症前期)第2期(早期腎症期)第3期(顕性腎症期)第4期(腎不全期)第5期(透析療法期)と、進行度により治療法が変わり、食事や運動療法なども内容を変更することがあります。
治療に関しては、血糖値だけではなく血圧や脂質のコントロールなど、様々な側面からの治療が、大切です。
血糖コントロールは、予防や悪化を防ぐため大切です。目標値は、一人ひとり違いますので主治医に確認しましょう。高齢者の場合は、低血糖に注意します。低血糖を避けるためには、食事療法や運動療法、薬物療法は、主治医の指示の下、慎重に行う事が大切です。
血圧のコントロールにより腎症の悪化が抑えられることがあります。
生活習慣の改善には、適正な体重を維持することや、禁煙、過剰なアルコール摂取を避けることが大切です。
食事療法は、塩分やたんぱく質の摂り過ぎにより腎臓に負担がかかることがあります。腎症の段階により食事療法がありますので主治医や管理栄養士に相談しましょう。
運動療法は、適度な運動で体重の維持や減量、身体機能などにいいと思いますが、激しい運動などは、注意が必要です。
予防は、血糖コントロールと動脈硬化予防の両方を行う事が大切です。糖尿病腎症の発症や進行と関連があるとされているのが、血糖コントロールの不良、高血圧、脂質異常、喫煙などです。生活習慣の改善を心がけ、糖尿病腎症の予防を目指しましょう。


(2023年10月12日)

  狭心症について@
狭心症とは、心臓が活動するのに十分な血液量を心臓の筋肉に供給できない状態を言います。各種虚血性心疾患の1つで、動脈硬化などにより心筋(心臓の筋肉)に血液を送る冠状動脈が詰まりかけている、あるいは血管のけいれんによって一時的に狭窄(細くなって)して、血流の流れが悪くなった(虚血)状態です。
心筋障害は一過性で、心筋の壊死を残さないのが、同じ虚血性心疾患である心筋梗塞との大きな違いです。
狭心症は発作の条件によって1.安定性狭心症(労作性狭心症)2.冠攣縮性狭心症(異型)3.不安定狭心症の3つに分けられます。
1:安定性狭心症
労作時のみ(一過性)に起きる心筋虚血であり、発作出現の仕方が安定しているという特徴があります。
2:冠攣縮性狭心症
冠動脈の一過性の過剰収縮(攣縮)での心筋虚血であり、安静時(夜間から早朝)に多くみられます。
3:不安定狭心症
狭心症発作が頻回に、労作時だけでなく安静時にも起こり、冠動脈が急速に狭窄していることが考えられ、心筋梗塞誘発の恐れがあるため早急な対処が必要です。
狭心症と言っても上記のように違いがあり、症状や原因によって、検査・治療も異なります。
狭心症の症状
症状としては、主に胸痛が挙げられます。前胸部の胸にしめつれられたような圧迫感のある痛みや、左肩や上腕、あご、歯、首、喉などへの痛みとして感じられる放散痛も認められます。狭心症では心臓から離れた場所(左側上半身)にも症状が出ることが少なくないので、痛みを感じる場所をしっかり伝えることも診断の上で大切な情報となります。これは実際にその部分が痛むのではなく、心臓の痛みが脳に伝わる際に、他の神経に痛みの刺激がうつってしまい起こる現象です。痛みの継続時間は心筋梗塞に比べて短く5~15分ほどで、安定性狭心症(労作性狭心症)の場合は安静にしてると症状が軽減します。労作時、安静時を問わず20分以上続く強い胸痛や冷や汗、嘔気などを伴う場合は心臓の血管が詰まっているか、狭くなっている可能性があります。そのままだと心筋が壊死してしまい、心筋梗塞となることもあります。また糖尿病の方は、痛みを感じにくくなっている場合があるので、少しでも違和感を覚えたら早めの受診が大切です。
狭心症の検査
1.心電図検査2.運動負荷心電図3.ホルター心電図4.心臓超音波検査5.血液検査6.冠動脈造影検査(カテーテル)などがあります。
狭心症の治療
1.薬物治療2.カテーテル治療3.冠動脈バイパス移植術があります。



(2023年11月15日)

  狭心症についてA
狭心症の予防方法
狭心症のリスクとして、1.高血圧2.脂質異常3.糖尿病4.喫煙5.家族歴6.肥満があります。
それらの効果的な予防策として、
1.高血圧予防のため、塩分を控えた食事や野菜や果物の意識的な摂取、節酒を行う。
2.脂質異常予防のため、タンパク質は肉類より、魚類や大豆製品で摂取する。食物繊維を多く含む野菜を食べる。量は控え、質の良い油を摂取しましょう。
3.糖尿病の予防・改善は、自分の摂取カロリーを把握して、バランスの良い規則正しい食生活を実践しましょう。
4.喫煙は量・ペースを減らしていき、できるだけ禁煙を心がけましょう。
5.家族歴(近親者の健康情報)がわかると、どのような遺伝的疾患があるのか、同じような生活環境でどのような病気になっているかを把握できます。
6.肥満改善のために、食事は腹八分目を意識し、継続した運動(有酸素運動)を行うことが大切です。
上記以外にも、睡眠時間の確保、朝食を食べ間食を控える、夜遅く寝る前に食べないなど、全部をすぐ行うのではなく、できることから少しずつ始めて、自分の生活習慣に無理なく取り入れていくことが大切です。


(2023年11月15日)

  冬に流行する感染症@
冬に流行する感染症と聞いてインフルエンザをイメージする方が多いと思いますが、その他にもさまざまな感染症があります。

 <インフルエンザウイルス感染症>
インフルエンザウイルスによって生じる感染症です。通常の風邪に比べて全身症状が強く出やすいことが特徴です。

症状:38度以上の発熱、頭痛、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、筋肉痛、関節痛。免疫力のおちている人、こどもや高齢者の人は重症化して肺炎や脳炎を引き起こすことがあります。
潜伏期間:1〜3日
感染経路:飛沫感染、接触感染
治療:抗インフルエンザ薬の使用。対症療法。

<RSウイルス>
RSウイルスによって生じる感染症です。上下気道感染を引き起こす代表的ウイルスです。感染力が強く免疫ができにくいため繰り返し感染しますが、年齢が上がるにしたがって徐々に免疫ができて症状が軽くなります。

症状:発熱、鼻汁、咳嗽、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)呼吸困難、乳児早期(6か月未満)では、細気管支炎や肺炎にまで進むこともあります。
潜伏期間:2〜7日(通常4〜5日)
感染経路:飛沫感染、接触感染
治療:対症療法

<マイコプラズマ感染症>
マイコプラズマ・ニューモニアという病原体が原因になる感染症です。
症状:発熱で発症、咳嗽が出てきて徐々に悪化していくのが典型的な経過。始めは乾いた咳で徐々に痰がからんだ咳になっていきます。肺炎をおこしたり喘息の発作を招いたりします。
潜伏期間:2〜3週間
感染経路:飛沫感染
治療:マクロライド系抗生物質を使用。

<溶連菌咽頭炎>
A群β溶血性連鎖球菌による感染症です。

症状:突然の咽頭痛、発熱、頭痛、食欲不振、嘔吐、喉が赤くなり、舌に小さな発疹ができることが多く(いちご舌)、唇や口の中も真っ赤になります。首のリンパ節が腫れて痛むこともあります。
潜伏期間:2〜4日
感染経路:飛沫感染、経口感染
治療:ペニシリン系の抗生物質が用いられることが多いですが、セフェム系の抗生物質も有効です。

<感染性胃腸炎(ノロウイルス)>
急性胃腸炎を起こす。

症状:激しい嘔吐や下痢、人によっては発熱、頭痛を伴います。
潜伏期間:1〜2日
感染経路:経口感染、接触感染
治療:対症療法。下痢症状などにより脱水症状が生じる場合があります。嘔吐症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静にしましょう。


(2023年12月14日)

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