宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  最近遭遇した救急の2症例 〜絶体絶命のピンチをどうやって乗り越えたか〜
最近、救急の2症例に間接的に遭遇しました。一般市民に救急の重要性を提唱するため、ホームページを通して、この2症例を紹介させていただきたいと思います。

<症例1>ブルガター症候群による突然心停止の1例
私が産業医として携わっているつくば市内の事業所の出来事ですが、11月5日の朝、30代前半の男性が、普段通りデスクワークをしていた所、突然意識不明となりましたが、その時は約30秒後に自然に回復しました。しかし、30分後、今度は全身けいれんと共に、まもなく心停止・呼吸停止となってしまいました。
現場は騒然となり、救急車を呼ぶ人もいれば、現場に駆けつけた看護師2名が懸命に心臓マッサージや人工呼吸を行いました。また、AED除細動器が用意され、看護師2名が普段の練習の通り、AEDによる除細動を行いました。幸い、すぐに奏功し、奇跡的に一命を取り留めました。その後救急車でメディカルセンター病院に搬送され、精査により、ブルガター症候群による突然心停止であったことが判明しました。

<症例2>蜂刺傷によるアナフィラキシーの1例
私の友人におこった出来事ですが、先日、農林関係の作業をしていた所、蜂に1ヶ所刺されてしまいました。その後数分もたたないうちに、気分不快、呼吸苦を訴え、意識がもうろうとなってしまいました。たまたま作業していた所が病院から近かったため、同僚がその場で決断をし、すぐに乗用車で救急外来に搬送しました。救急外来到着時、すでにショック状態に陥っていましたが、救急担当医の懸命な治療により、友人は九死に一生を得ました。
先日、友人が蜂刺傷事故のための自己注射薬エピペンの処方を希望し、当院に来院した際に判明したことですが、今回の蜂刺傷は2回目で、1回目はなんと46年前の16歳の時だったそうです。

<考案>
この2名の患者さんが助かった最大の理由は、やはり現場にいた方々の適切な判断および、迅速な蘇生技術によるものだと思います。日本の救急車が現場に到着する時間は、平均して、連絡を受けてから8〜10分程度だそうです。心停止が発生した場合、蘇生せずにそのまま放置してしまうと、1分間につき救命率が10%低下すると言われています。即ち、10分間そのまま放置してしまいますと、ほとんど救命することはできないと考えられます。症例1の同事業所における、普段の健康安全訓練やAEDの点検に多くの力を注いでいる点を大いに称賛致します。
一方症例2では、たまたま現場が病院に近かったため、同僚の判断で直接病院に搬送したことが正しかったかもしれません。日本国内では、毎年60名前後の方がアナフィラキシーにより亡くなっており、その原因としては医薬品と蜂刺傷が多いと言われています。本症例の様に、46年ぶりに蜂に刺されても重症化してしまったことを考えますと、蜂刺傷高危険群の方には自己注射可能なエピペンの携帯をおすすめ致します。

最後になりますがAEDがかなり普及している現在、果たして、皆さんがいざという時に落ち着いてAEDを操作することができるのでしょうか。講習会さえ受ければ、大半の方が操作できるようになると私は信じております。皆さん、機会がありましたら、ぜひAEDや蘇生の講習会にご参加ください。

(平成26年11月20日)

  女性に多い病気「骨粗鬆症」 (その1)
皆さんは、骨粗鬆症とはどのような病気かご存知ですか?名前だけは知っているという方が多いのではないでしょうか。
骨粗鬆症は、骨密度の低下により、骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。その結果、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。自覚症状の乏しい病気であり、なかなか病気であると気が付きません。したがって、腰や背中に痛みが生じ、医師の診察を受けて病気がみつかった時には、病状が進行していたということは少なくありません。加齢や閉経に伴って引き起こされることが多く、高年齢の男性にもみられますが、閉経による女性ホルモンの分泌低下が骨密度を低下させるため、特に女性に多くみられ、患者の8割が女性といわれています。また、若い人でも栄養や運動不足、ステロイド剤などの影響でなることもあります。

骨粗鬆症は、がんや脳卒中、心筋梗塞のように生命をおびやかす病気ではありませんが、骨粗鬆症による骨折から、寝たきり状態になる人は少なくありません。実は放っておくと、毎日の生活に大きな影響を及ぼすこともある病気なのです。骨粗鬆症は、長年の生活習慣が要因となっているため、日頃から予防を心がけることが大切です。予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながりますので、早くから予防や治療に取り組んで頂ければと思います。

ではまず、どのような検査をするのでしょうか?検査方法、診断基準、治療についてご説明致します。

< 検査方法 >
 骨密度の検査方法は以下の3つの方法が一般的です。いずれも痛みがなく、簡単に行えるものです。

●DXA(デキサ)法
2種類のエックス線を当てる測定法です。全身のほとんどの部位で測定が可能で、正確かつ迅速に測定することができます。骨粗鬆症の診断には大腿骨頸部が良いとされています。

●超音波法
超音波を使った測定法です。骨密度測定法では、かかとや脛に超音波を流して測定します。かかとの骨というのは、骨密度が最初に落ちやすいことから、初期段階での骨密度測定には適しています。

●MD法
MD法は、両手の骨と厚さの異なるアルミニウム板をエックス線で同時に撮影します。その後、そのエックス線写真をコンピューターで解析します。骨の濃淡から骨密度を測定します。

< 診断基準 >
骨粗鬆症の診断基準は、若年成人(20〜44歳)の骨量の平均値(YAM値)との比較によって行います。骨量が平均値の80%以上が正常、70〜80%であれば骨量減少、70%未満が骨粗鬆症と診断されます。骨量が平均値の80%未満の人は注意が必要です。

< 治療について >
初期の骨量減少なら、食事や運動などの生活習慣を改善することで、骨量が増えてきます。病気が進むと、食事療法と運動療法に加え、薬物療法を始めます。 骨粗鬆症治療の目的は、骨折を予防し、この先長く、日常生活を快適に過ごすことができるようにすることです。 最近では、骨粗鬆症による骨折が早期治療により、予防できるようになってきています。
骨粗鬆症の治療は、一時的に症状が良くなっても、病気が治ったわけではありません。治療をやめると、また悪くなることがあります。決して自己判断で治療を中止せず、医師の指示にしたがって、根気よく続けましょう。

(平成27年1月20日)

  女性に多い病気「骨粗鬆症」 (その2)
(その1)では、検査方法、診断基準、治療についてご説明致しました。
(その2)では、予防のための食事・運動についてご説明致します。

< 食事について >
骨粗鬆症を予防するためにも、治していくためにも、カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切です。
カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草などに多く含まれています。骨粗鬆症を含めた生活習慣病は、長年の食生活のかたよりが大きな原因となりますから、毎日の食事をバランスよくとることがすべての病気を予防する基本であることに変わりはありません。
しかし栄養に注意している人でも、カルシウムの摂取だけがどうしても不足してしまうのが現状です。厚生労働省の栄養調査によりますと、現在の日本人は、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン・ミネラルのすべての栄養素を十分とっていますが、唯一カルシウムだけは所要量に達していません。たんぱく質もビタミンCもとりすぎるくらいとっているのです。
そこで、さまざまな種類の食品をバランスよく、しっかり食べることを基本にして、その上で意識してカルシウムをとることが望まれます。最低限、毎日の食卓にあと200mgのカルシウム、目安として牛乳(200ml)1本分、豆腐なら半丁を加えてください。

< 運動について >
若いころ運動をしなかった人や、長い間病気で寝込みがちだった人は、体格が華奢になり、骨が弱く、骨折しやすいことが知られています。骨を丈夫にするためにはカルシウムをとることが必要ですが、それと同じくらい運動が大切になります。運動によって体の筋肉が鍛えられ、身のこなしがよくなると、転びにくくなり、骨折の防止にもつながります。骨を強くするための運動は、特別なことをしなくても、エレベータやエスカレーターを使わずに階段の上り下りをする、適度に太陽光を浴びながら散歩を楽しむといったことでも十分に効果があります。
適度に紫外線に浴びると、体内にビタミンDが生成され、カルシウムの吸収が促進されるのです。他にも家事で毎日こまごまと動くことでも骨を強くできます。
大切なことは、毎日楽しみながら長く続けることです。決して無理をせず、出来ることから始めてみましょう。

今後、ますます高齢化が進むことが予測されており、それに伴い、骨粗鬆症の患者数も増加していくと考えられます。生涯を健康で充実した状態で過ごすためには、血圧やコレステロール値などを気にするように、骨密度も気にかけて頂きたいものです。そのためにも、骨粗鬆症とは何かを知って予防をし、なったとしても骨折しないために適切な治療を受け、骨に良い食事や運動を心がけていきましょう。
当院でも骨密度の検査や骨粗鬆症の診療をしておりますので、気軽に医師とご相談下さい。


(平成27年1月20日)

  がんから命を守る内視鏡検査(その1)
皆さんご存知かと思いますが、日本人の死因上位を占めるのは「がん」です。中でも胃がんや大腸がんから命を守るためには、定期的に内視鏡検査を受けて、体の中に異常がないかを確認し、早期の段階で病変を発見し、治療を開始することが大切です。
しかし中には、「がんは怖いけど、内視鏡検査も怖い」という方や、「特に気になる症状はないから」という理由で、内視鏡検査を受けない方もいるのではないでしょうか?しかし、早期には自覚症状がほとんどないような病気もありますので、定期的ながん検診が必要なのです。
今回は内視鏡検査について詳しくご説明いたします。

< 内視鏡検査とはどんな検査? >
内視鏡を挿入して、モニターで胃や腸を直接観察する検査です。口や鼻からカメラを入れて検査する上部消化管内視鏡検査と、肛門からカメラを挿入する下部消化管内視鏡検査に分けられます。
上部消化管内視鏡とは一般的に胃カメラと呼ばれるもので、食道、胃、十二指腸を観察して、ポリープや腫瘍、炎症、潰瘍などがないかを診ていきます。一方、下部消化管内視鏡は大腸内視鏡と呼ばれているもので、直腸、結腸に至る大腸全体と、大腸と小腸のつなぎ目である回腸、肛門部などに病変がないかを調べます。

胃カメラ検査は、大腸内視鏡検査よりもどちらかと言えば身近な検査ですが、「つらい」「痛い」といったイメージが強く、どうしても敬遠されがちですよね。しかし最近では、苦痛の少ない経鼻内視鏡検査を実施している病院も増えてきました。
一般的な経口内視鏡では、舌根部にスコープが触れることで嘔吐反射が起こり、吐き気などの苦痛を伴いますが、鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡であれば、比較的楽に検査を受けることができます。当院でも経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査のどちらかを選択することができますので、お気軽にご相談下さい。
また、検査に要する時間はおよそ5分から10分程度といったところです。前処置をしてからの検査となり、検査後は院内で少しの間休んで頂いた後に診察で結果を聞いて頂きますので、受付をしてから2時間程度で帰れます。当院の場合、胃カメラ検査につきましては、初診の方でも電話予約が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

(その2)に続きます。

(平成27年2月16日)

  がんから命を守る内視鏡検査(その2)
(その2)では内視鏡検査で分かる病気と検査を受けるタイミングについて説明致します。

< 内視鏡検査で分かる病気 >
内視鏡検査では、悪性腫瘍を見落とさないことが最優先ですが、胃カメラ検査では胃がんや食道がん以外にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、近年日本人に増えている逆流性食道炎などの病変を発見することができます。
大腸内視鏡検査では、大腸がんだけでなく、クローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患がみつかったり、痔の様態を確認することができます。
疾患によっては自覚症状がないまま進行するものや、自覚症状だけで診断するのが難しい病気もありますので、内視鏡検査で体の内部を観察して異常がないか調べることは、様々な病気から体を守る上で重要です。


< 内視鏡検査を受けるタイミング >
胃カメラでしたら、胃痛などの症状が続いている場合は、医療機関を受診して、検査を受けてみましょう。中には、とりあえず薬を飲んでみて様子をみるといった方もいらっしゃいますが、症状の原因はわからないままであり、薬を飲んでいても症状が良くならないという場合もあります。その時は、思いきって検査を受けてみることをお勧めします。また症状がない場合でも、ピロリ菌感染のある方、胃粘膜萎縮がある方は胃がんの発生リスクが高くなりますので、年に一回は内視鏡検査を受けましょう。
大腸では、便通異常や血便などの症状がみられたら、すぐに医療機関を受診し、医師にご相談されることをお勧めします。大腸がんは、早期に発見できれば、そのほとんどが内視鏡的に、または外科的に根治可能な病気です。早期大腸がんの5年生存率は、80%以上と極めてよく、進行がんでもがんの浸潤の程度とリンパ節転移の程度により予後が変わってきます。また、大腸がんは肝臓にもっとも転移しやすいのですが、肝臓転移が見つかっても、肝臓を手術したり抗がん薬を用いたりして長期に生存することも可能なのです。
遺伝的な影響もあるとも言われている大腸がん。ご家族で大腸がんになられた方がいる場合や、過去に治療を受けたことのある方、ポリープが見つかったことのある方は、定期的に検査を受けましょう。


会社の健康診断以外にも、市で行っている健診などでがん検診を受ける機会はあっても、まだまだ受診する方が少ないのが現状です。また、特に自覚症状はないが、がん検診には興味があるという方の中にも、内視鏡検査に苦手意識がある方もいらっしゃると思います。
しかしそういった方でも、胃ではABC検診(胃がんリスク検診ともいわれ血液検査を行う)、大腸では便潜血検査(検便で血が混ざってないか調べる)など、簡単にできるがん検診もあります。もし、それで陽性(がんの疑いあり)の結果が出た場合に、精密検査を受けることを考えてもいいのです。
当院でも、特定健診やがん検診、もちろん胃カメラ検査や大腸内視鏡検査も受けられますので、お気軽にお問い合わせください。
40歳を過ぎて高齢になるほど、がんにかかる率は高まります。ぜひ、年に一度は健康診断やがん検診を受け、ご自身の健康状態を確認しましょう。

(平成27年2月16日)

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