宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  子どもや高齢者の熱中症予防について
7月に入り、暑い日が続いていますね。
熱中症への注意が必要な季節となりました。
熱中症は、特に子どもや、高齢者がかかりやすいといわれていますが、なぜでしょうか?どのような点に注意する必要があるのでしょうか?

〔子どもが熱中症になりやすい理由〕
@大人と比べ汗をかく機能や体温を調整する機能が未熟である
A身長が大人より低いため、地面からの照り返し熱の影響を受けやすい
B暑さにあわせた服装をする、涼しい場所へ移動する、水を飲みにいくなど、暑さに対する予防策を自分からとりにくい  

〔子どもが熱中症にならないために注意できること〕
@子どもの顔色や汗のかき方をよく見て早期発見を!
・顔が火照っている、ひどく汗をかいている、おしっこの色がいつもより濃い等は熱中症の初期症状です。涼しい場所に移動し、衣服を緩め、脇の下や足の付け根、首を冷たいタオルなどで冷やしてあげましょう。そして少しずつ水分を補給してあげましょう。
Aこまめに水分補給を!
・お出かけ前後、入浴前後、寝る前・起きた後など、汗をかいたときは特に水分補給をしましょう。
B通気性の良い服を!外出時は帽子をかぶりましょう!
C暑い時間帯の外出は控え、外を歩くときはなるべく日陰を通りましょう!

〔高齢者が熱中症になりやすい理由〕
@加齢に伴い暑さを感じにくくなっている
A加齢に伴い汗をかく機能が低下するため、熱を下げにくくなっている
B体の中の水分量が若い頃より減っており、尚且つ、のども乾きにくい

〔高齢者が熱中症にならないために注意できること〕
@部屋に室温・湿度計をおきこまめに観察する
A少しでも暑いと感じたらエアコンをつける
・30℃を超えると冷房を入れたほうが良いといわれています。冷え過ぎも良くないので28℃以上などで設定し使用しましょう。
Bこまめに水分補給をする
・のどが乾いていなくても1時間に1回は水分補給を!
・外出時も水分を持ち歩き、こまめに水分補給をしましょう!

子どもや高齢者は熱中症の進行が速く、重症化しやすいため、予防をしっかりと行うことが大切です。

※Dr宮川の注目コーナーの4ページ目にも「熱中症対策」が記載されていますので、そちらもよろしければご覧ください。


(平成29年7月26日)

  夏場の食中毒について
暑い日が続いていますね。
この暑さで増えるものといえば、細菌による食中毒があります。
細菌による食中毒には、カンピロバクターや、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌(0157)があります。
症状として、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱等があります。
食べ物に食中毒を招く細菌が増殖しても、食べ物の見た目や味は変わらず、匂いもしません。
そのため、食事の準備をする際は、細菌を「つけない」「増やさない」加熱等で「やっつける」ことが大切です。
予防としてでできることとして、以下のことがあります。
@食品の購入時
・生鮮食品は新鮮なものを、消費期限を確認し購入する
・肉や魚は汁がもれ、他の食品につかないようビニール袋に入れる
・肉や魚などは最後にかごにいれ、持ち帰り時も氷を入れるなど温度管理に注意する
A家庭での保存
・帰宅後は冷蔵・冷凍食品はすぐ冷蔵・冷凍庫へしまう
・肉や魚などは、汁が他の食品につかないよう、袋に入れたまま保存する
B下準備・調理
・作業の前には手洗いを行う(タオルは清潔なものを使用する)
・肉・魚・卵を取り扱う前後はしっかり手洗いをする
・肉・魚・卵に使用した調理器具は、よく洗い、熱湯をかけるなど消毒してから他の食材に使用する
・野菜は流水でよく洗う
・解凍は室温でせず、電子レンジや冷蔵庫で行う(解凍後はすぐ調理を!解凍後、再冷凍しない)
・肉や魚は中までしっかり火を通す
C食事
・食べる前には手洗いを
・料理は長時間室温で放置せずすぐ食べる
D後片付け
・残った食品は清潔な容器に保存し、食べる際には再加熱する(ちょっとでも怪しいと思ったものは破棄する)
・調理に使ったまな板、包丁、ふきんはよく洗い、消毒する
☆調理済み食品についても、長時間室温で保存することは避け、なるべく再加熱し、購入後すぐ食べるようにしましょう。

家庭での食中毒は症状が軽かったり、発症する人数が少ないことから、食中毒と気づかず重症化することがあります。食中毒を予防するとともに、おなかが痛い、下痢をする等の症状が出た場合は、早めに受診しましょう。


(平成29年8月7日)

  熱性痙攣を起こした時
熱性痙攣とは、発熱に伴って急に体の一部または全身をピクピクさせたり、意識がなくなって、目が固定して突っ張ったりする現象です。白目になったり、呼びかけても反応がなかったりします。
幼い子供が高熱の時にしばしばみられる症状でもあります。

○痙攣に気付いたら、慌てて大声で呼んだり、抱き上げたり、ゆすったり、叩いたりしないで落ち着いて様子を見ましょう。
○静かに寝かせて、呼吸が楽なように衣服をゆるめましょう。
 舌を噛むことはないので口の中に指や物を入れたりしないでください。
○痙攣の際に吐いてしまうと、口や喉が塞がり危険なので、顔を横に向けてください。
○痙攣が止まったら、必ず体温測定をしましょう。
○すぐに飲み薬や飲み物を与えないようにしましょう。

観察のポイント
@ 慌てず落ち着いて様子を見てください。
A 気付いた時間は?
B 左右差があるか?手足の動きは?吐き気は?目つきは?熱は?
C 痙攣は何分ぐらい続いたか?

急いで病院を受診した方がよい場合
○痙攣が10分以上続いている
○一旦治まっても繰り返す
○意識が15分以上回復しない
○激しい嘔吐を伴う
○痙攣後、手足に麻痺が残る
○高熱の際の痙攣が初めてで、長時間続くとき
○一度眠ってしまっても、目覚めた時に、いつもと様子が違う

しばらく様子を見ても大丈夫な場合
上記の項目が除外でき、なおかつ下記の項目に該当する場合、危険性が比較的少ないと言われています。
○痙攣が一回だけで数分以内
○目を開けて周囲の呼び掛けに反応したり、泣いたりする
*念の為、落ち着いてから診察を受けましょう。


(平成29年9月29日)

   健康食品やサプリメントを摂りすぎてませんか?
「健康食品」には成分を凝縮していたり、医薬品の成分を含んでいるものも、多くあります。
サプリメントのパッケージには「元気に」などうたい文句が記載されていることが多く、表示成分もよさそうに見えるもの多いです。
しかし、効果を期待して摂りすぎたりすると、危険性も増します。
また、服用している医薬品との相互作用で、思わぬ健康被害が発生することもあり得ます。
「健康食品」には法律上の定義はありません。
サプリメントはある成分が凝縮されて、錠剤やカプセルなどで、日本ではスナック菓子や飲料まで含むこともあります。
英語で「補助」「補充」というような意味ですが、ふつうの食品よりも健康に良いかどうか、科学的根拠があるかどうかは、必ずしも十分ではありません。
また、サプリメントを飲む前にまず自分自身が服用している薬について知識を深めなければなりません。

例えば、ワーファリンの服用中にビタミンKを含む食品(納豆など)を摂取するとワーファリンのビタミンKに対する妨害が不十分となり、血液のかたまり(血栓)の形成を防ぐ作用が弱められます。

サプリメント同士にも相性が悪いものもあるので、サプリ同士の組み合わせにも注意が必要です。ビタミン、ミネラルと食物繊維を同時に摂ってしまうと、食物繊維がミネラルや脂溶性ビタミンの吸収をさまたげる場合があります。

健康食品やサプリメントは薬の代わりではありません。
「食品だから安心」「天然成分だから安心」は誤解で天然成分由来の健康食品でもアレルギー症状や、かえって体調が悪くなるケースもあります。

特に、病人、子供、妊産婦、高齢者、アレルギー体質のある方などは注意が必要です。医師に「健康食品」やサプリメントを摂っていることをきちんと伝えましょう。
また、何よりも三度の食事をきちんとバランスよく食べることが、大事です。


(平成29年10月27日)



  ピロリ菌について@
「ピロリ菌」という言葉を最近よく聞きますね。
今回は2回に分けてピロリ菌について整理したいと思います。

*ピロリ菌とは?
 正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ菌」で、胃の粘膜に住みつく細菌です。

*ピロリ菌はどうやって感染する?
 感染経路についてはまだわかっていないことが多いですが、5歳未満の幼少期に口から体内に菌が入ることで感染すると考えられています。ピロリ菌に感染した大人から小さい子どもへ口移しで食べ物を与える場合も感染する可能性があると考えられています。一度感染すると自然に消滅することは稀です。

*日本人はどれくらいの人が感染している?
 日本人全体では約半分の人が感染していると言われています。年代別では、40代以降で多く、40代で35%前後、50代以降になると70〜80%の人が感染していると言われています。一方、20歳未満の若年層では、ピロリ菌保有率は10%を切っています。

*なぜ40代以降で多い?
 戦後まもない頃は、上下水道がまだ十分に完備されておらず、汚染された井戸水などをそのまま飲料水として使用しており、そのような時代に幼少期を過ごした人たちは保菌率が高いと考えられています。

*ピロリ菌が胃にいるとどうなる?
 ピロリ菌が作り出す酵素ウレアーゼと、胃の中にある尿素が反応してアンモニアが作られ、そのアンモニアが胃の粘膜を傷つけます。また、ピロリ菌が作るvacAという蛋白も胃粘膜の表面の細胞に穴をあけ、胃を傷つけます。こういった悪さをするピロリ菌をやっつけようと体の中で生体防御反応が起こり、白血球が胃粘膜に集まり炎症を起こし、さらに胃粘膜は傷つきます。

*ピロリ菌がいることでどんな病気になる?
 ◎慢性胃炎
 ピロリ菌に感染すると、胃粘膜に炎症がおこり、感染が長引くと慢性胃炎になります。この状態では自覚症状はないことが多いです。慢性胃炎が続くことで以下のような病気になります。

 @萎縮性胃炎
 慢性胃炎が長く続くと、胃液を分泌する細胞は減っていき、胃粘膜は萎縮していきます。萎縮性胃炎になると、胃液が十分に分泌されないので食べた物は消化されにくくなり、食欲不振や胃もたれといった症状が出てきます。萎縮性胃炎になると胃がんになりやすくなります。

 A胃潰瘍・十二指腸潰瘍
 胃・十二指腸潰瘍のほとんどがこのピロリ菌によるものと考えられています。実際ピロリ菌のいる潰瘍患者ではピロリ菌を駆除することで潰瘍がほとんど再発しなくなります。

 B胃がん 
 世界保健機関(WHO)は、「胃がんの80%はピロリ菌感染が原因で除菌によって胃がん発症を30%〜40%減らせる」との報告書をまとめています。胃がんは日本人が最も多くかかるがんです。男性はおよそ9人に1人、女性はおよそ18人に1人が一生のうちに胃がんにかかると診断されています。若年層のピロリ菌保有者に対し、早期のピロリ菌除菌が胃がんを撲滅する一番有効な方法かもしれません。

 ※ピロリ菌はその他にも、胃ポリープや、胃MALTリンパ腫(悪性リンパ腫の一種)、特発性血小板減少性紫斑病とも関係があります。


(平成29年11月30日)

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