宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  冬に流行する感染症@
冬に流行する感染症と聞いてインフルエンザをイメージする方が多いと思いますが、その他にもさまざまな感染症があります。

 <インフルエンザウイルス感染症>
インフルエンザウイルスによって生じる感染症です。通常の風邪に比べて全身症状が強く出やすいことが特徴です。

症状:38度以上の発熱、頭痛、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、筋肉痛、関節痛。免疫力のおちている人、こどもや高齢者の人は重症化して肺炎や脳炎を引き起こすことがあります。
潜伏期間:1〜3日
感染経路:飛沫感染、接触感染
治療:抗インフルエンザ薬の使用。対症療法。

<RSウイルス>
RSウイルスによって生じる感染症です。上下気道感染を引き起こす代表的ウイルスです。感染力が強く免疫ができにくいため繰り返し感染しますが、年齢が上がるにしたがって徐々に免疫ができて症状が軽くなります。

症状:発熱、鼻汁、咳嗽、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)呼吸困難、乳児早期(6か月未満)では、細気管支炎や肺炎にまで進むこともあります。
潜伏期間:2〜7日(通常4〜5日)
感染経路:飛沫感染、接触感染
治療:対症療法

<マイコプラズマ感染症>
マイコプラズマ・ニューモニアという病原体が原因になる感染症です。
症状:発熱で発症、咳嗽が出てきて徐々に悪化していくのが典型的な経過。始めは乾いた咳で徐々に痰がからんだ咳になっていきます。肺炎をおこしたり喘息の発作を招いたりします。
潜伏期間:2〜3週間
感染経路:飛沫感染
治療:マクロライド系抗生物質を使用。

<溶連菌咽頭炎>
A群β溶血性連鎖球菌による感染症です。

症状:突然の咽頭痛、発熱、頭痛、食欲不振、嘔吐、喉が赤くなり、舌に小さな発疹ができることが多く(いちご舌)、唇や口の中も真っ赤になります。首のリンパ節が腫れて痛むこともあります。
潜伏期間:2〜4日
感染経路:飛沫感染、経口感染
治療:ペニシリン系の抗生物質が用いられることが多いですが、セフェム系の抗生物質も有効です。

<感染性胃腸炎(ノロウイルス)>
急性胃腸炎を起こす。

症状:激しい嘔吐や下痢、人によっては発熱、頭痛を伴います。
潜伏期間:1〜2日
感染経路:経口感染、接触感染
治療:対症療法。下痢症状などにより脱水症状が生じる場合があります。嘔吐症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静にしましょう。


(2023年12月14日)

  冬に流行する感染症A
<アデノウィルス感染症>
アデノウィルスの型は50種類以上も存在すると言われ、プール熱、夏風邪とも呼ばれることがある咽頭部や結膜などの症状を特徴とする感染症です。7〜8月に感染者が最も多くなる傾向にありますが最近は冬季にも流行がみらます。
症状:咽頭炎、結膜炎、発熱、鼻汁、鼻づまり、腹痛、嘔吐、下痢
潜伏期間:5〜7日型によっては2週間ほど潜伏するような種類もあります。
感染経路:飛沫感染、接触感染。

<扁桃炎>
扁桃炎とは、下の付け根の両サイドにある、こぶのようなもので、ウイルスや細菌などの病原菌から体を守る免疫の役割を果たしています。扁桃腺が腫れる原因は、空気中の病原菌が鼻や喉、扁桃腺に付着することがほとんどで、その扁桃腺に付着した病原菌が増えると炎症を起こします。これが扁桃腺が腫れる原因となっています。
症状:風邪よりも長引いている熱や咳、喉が赤く腫れイガイガする。食べ物、飲み物が飲み込みづらいなどがあげられます。また扁桃腺により起こる病気は、急性扁桃炎、慢性扁桃炎の二つがあります。

急性扁桃炎:38〜40度近くの高熱を伴い、喉の痛み、赤く腫れて食べ物や唾液まで飲み込めなくなるほど辛くなる場合があります。高熱による頭痛、関節痛、悪寒、さらに首のリンパが腫れ耳  まで痛くなることもあります。

慢性扁桃炎:症状は、ほぼ急性扁桃炎と似ていますが、それを一年に4回以上繰り返すと慢性扁桃炎と呼ばれます。急性扁桃炎と違うのが、高熱が出ないことです。症状は倦怠感や微熱、喉の痛みも異物感がある程度です。しかし、慢性化すると薬で改善できず、さらに繰り返す可能性が高くなります。手術が必要になる場合あります。

扁桃炎は細菌、ウイルスによって感染するため、予防法は、うがい、手洗い、十分な休息と疲労やストレスのない生活、免疫力を高める食事を取る。
(食事はビタミンCやビタミンEを多く含む果物や野菜や発酵食品、キノコ類、はちみつなど)
扁桃炎、風邪、インフルエンザなどの感染症にかかり易い人は免疫力の低下が考えられます。食品や食物繊維など毎日欠かさず取り入れ腸内環境を整えることをお勧めします。
扁桃炎は初期症状が風邪に似ているため、悪化するまで気づかないことがほとんどです。体力が低下した時、睡眠不足、疲れ、ストレスの過多などが扁桃炎を起こしやすくなりますので体調管理には注意して下さい。
体調が優れないことがございましたらお気軽にご相談下さい。


(2023年12月14日)

  腹部膨満感について
 皆さんの中に、お腹が圧迫されて苦しい、ガスが溜まって苦しい、胃が重苦しいなどの症状がある方はいらっしゃいませんか?人により感じ方や症状は違いますが、お腹が常に張っている状態を腹部膨満感と言います。

お腹にガスが溜まり膨満感が出るのは、大量の食べ物と一緒に飲み込んだことが原因になることがありますが、便秘が続いて腸管内に溜まったガスを排出できないことが原因になることもあります。他には、偏った食事やストレス、食物繊維や炭水化物が多すぎる食事などもお腹にガスが溜まりやすい原因になります。

解消するには、偏った食事ではなくバランスのとれた食事をすることや水分摂取や運動習慣などや定期的な排便習慣を維持していくことが大切です。
乳製品や発酵食品には腸内環境を整え、便秘解消だけではなく大腸内でのガス産生を減らしてくれる効果があり、毎日の食生活にこれらの食品を摂るのも良いと思います。
また、早食いなどはせずにゆっくり噛んで食べるようにしましょう。

病気が原因で腹部膨満感を引き起こすこともあります。
まず、腸閉塞による腹部膨満感です。腸閉塞になると腸が塞がった所より先に内容物が進まなくなり、便やガスがたまり腹部膨満感を感じるようになります。他には、胃炎や胃下垂・胃腸虚弱、過敏性腸症候群などの病気で胃腸の調子が悪くなり、空気がたまりやすくお腹が張るだけではなく吐き気や便秘などをともなうことがあります。
一番気を付けなくてはいけないのが、腹部腫瘍によるものです。腹部腫瘍には、胃がん・膵臓がん・肝臓がん・大腸がん・卵巣腫瘍・子宮がんなどがあります。腫瘍の初期症状は出ないことが多いので、定期的な検診や検査をおこない気になる症状があれば主治医に相談することをお勧めします。

腹部膨満感は、食べ過ぎや飲み過ぎ、便秘などの際によく見られる症状と軽く考えてしまう方がいるのではないでしょうか?その中には重篤な病気が隠れている場合があり次のような症状、ガスや便が出ない・吐き気・嘔吐・強い腹痛・発熱・動悸やめまい・黄疸や皮膚のかゆみ・お腹が異常に膨れる・全身倦怠感などがあれば一度受診することをお勧めします。


(2024年1月12日)

  シックデイについて
糖尿病患者さんが発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などのために食事がとれず、血糖値が乱れやすくなった状態をシックデイ(sick day、病気の日)といいます。
シックデイでは、日頃の血糖マネジメントが良好でも、大きな怪我や強い精神的なストレスの状態になると血糖のコントロールが不安定になりやすく、重症の急性合併症(糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群など)に進展してしまう可能性があります。また、通常の食事ができない時に、いつも通りに薬を飲んだり注射をしたりすると、低血糖を起こすことがあります。糖尿病患者さんは、風邪や下痢など日常的にかかることが多い病気でも注意が必要です。

 シックデイ時にはコルチゾールやカテコラミンなどのストレスホルモンの分泌が促進します。ストレスホルモンは急性期における体の障害の防御に役立つ面がある一方で、インスリンの働きを弱めるため血糖値が上昇します。糖尿病でなければ血糖の上昇に応じてインスリンの分泌が増えるものの、糖尿病の患者さんではそれが不十分であるため血糖値が高くなります。その反対に、シックデイ時には食欲が低下していつものように食べられないことが多い為、いつも通りに薬を服用したり、注射をすると低血糖が起きてしまいます。
シックデイ時の家庭での対応
(1)体力の消耗を防ぎ、病気に対する抵抗力を保つために安静と保温に努めて下さい。
(2)可能な限り水分、炭水化物を摂取して下さい。
 水分は1日約1500mL必要ですが、水の他に電解質の補給も兼ねて味噌汁、野菜 スープ、果物ジュース、スポーツドリンク、経口補水液などで補給して下さい。糖質の多い清涼飲料水や糖質入りスポーツドリンクはとりすぎず、消化管に悪影響を及ぼす恐れのある牛乳や炭酸飲料は避けて下さい。お粥やうどんなどの消化の良い炭水化物を摂取して絶食状態にならないようにして下さい。
(3)病状の把握に努め、受診または主治医に相談して下さい。
体温、血圧、脈拍、体重、食事量、自覚症状の有無を自己チェックして下さい。急激な体重減少は、脱水が起きている可能性が疑われ要注意です。血糖の自己測定が可能でしたら測定してください。
(4)インスリン療法をしている方は、たとえ食事を取れなくても自己判断でインスリン注射を中止してはいけません。食事量や血糖値、インスリン製剤や使用量によって対応が異なるので速やかに主治医と相談して下さい。
以下の場合には速やかに医療機関を受診してください。
1.高熱が続いたり、消化器症状(腹痛、嘔気・嘔吐、下痢など)が強いとき
2.24時間以上にわたって経口摂取ができない、または著しく少ないとき
3.血糖値350mg/dL以上が続くとき
4.治療薬の対応が分からないとき
5.意識状態の悪化が見られるとき
一日も早く普段の生活に戻って、より良い血糖コントロールを目指すためにも、主治医の先生と相談しながら、シックデイをできるだけ短期間で乗り切りましょう。


(2024年2月13日)

  甲状腺の異常
 疲れやすい。痩せた。動悸がする。寒がり。やる気がでない。といった症状があったら心臓や消化器の病気か更年期、うつ病など思い浮かべるかもしれませんが、本当は甲状腺に原因があるかもしれません。
 甲状腺はのどぼとけの下にある蝶々の形をした臓器で、脈拍、血圧や体温を上げ、新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンを出しています。甲状腺は、わずか15g前後の小さな臓器にもかかわらず様々な病気が起こります。甲状腺の病気は女性にとっても多い病気です。月経異常や不妊、流産の原因になることも多く、女性にとっては注意したい病気です。この甲状腺の分泌に異常が起こったり、炎症が起きたりするのが甲状腺の病気で、種類は大きく3つに分けることができます。
1 甲状腺機能の異常
甲状腺の機能が亢進してホルモンの分泌が過剰になるのが、甲状腺機能亢進症で、代表的なものはバセドウ病です。
症状は体重減少、動悸、頻脈、暑がりになる、手の震え、全身のダルさ、疲れやすい、多汗、目の腫れなどです。
一方甲状腺のホルモンの分泌が足りなくなるのが、甲状腺機能低下症で、代表的なも のが橋本病です。
症状は、脱毛、顔の腫れ・むくみ、甲状腺の腫れ、食欲の低下、記憶力の低下、寒がりになる、倦怠感、疲労、徐脈などです。
2  甲状腺の炎症
急性化膿性甲状腺炎・・・細菌感染によって炎症を起こし、甲状腺に痛みが出ます。
亜急性甲状腺炎・・・はっきりはわかっていませんが、ウイルスが原因で甲状腺に腫れ、痛み、しこりが起ります。
3 甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍の8割から9割は特に治療の必要がないものです。直径2cm以下の初期の甲状腺腫瘍では、自覚症状はほとんどありません。腫瘍が大きくなると首の腫れ、しこり、物を飲み込むときの違和感などの症状が現れることがあります。
甲状腺の病気かどうか、触診、超音波、血液検査で判明します。
治療は内服治療、悪性の腫瘍は手術が必要な場合があります。
セルフチェック
 甲状腺機能亢進
  □ 食欲があるのに、急に体重が減少した。
   □ 脈拍が早く、動悸を打つこと多い。  □ 手指が震えて      
字がうまく書けない。
   □ 汗をかくことが多くなった。 □ 精神的にイライラして落ち着かない。
   □ 眼球が突出してきたと言われる。   □ 首が腫れるような違和感がする。
  □ 息切れがする。疲れやすい。   
 甲状腺機能低下
  □ 倦怠感が強く、疲れやすい。     □ むくみがある。
  □ 体重が増加してきた。 □ 寒気が強く感じる。
  □ 気分が落ち込み、やる気がでない。  □ 首が腫れるよ うな違和感がある。
  □ 物忘れが多くなった。        □ 便秘

項目にチェックがつき、気になる症状がありましたら、お気軽にご相談下さい。


(2024年3月8日)

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