宮川内科・胃腸科医院
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Dr宮川の注目コーナー

  胃癌で亡くならないために
胃癌の疫学調査
 日本人の癌患者数の1位は胃(年間11万人)、2位は大腸、3位は肺です。しかし、死亡率をみると1位は肺癌で、胃癌と大腸癌は手術により、患者さんは80%治るため、死亡率は低くなっています。ある調査によりますと、日本人の胃癌患者数は団塊世代が引退してから20数年まで、高い水準のままで推移すると予想されています。したがいまして、胃癌対策が依然として、重要な課題であることに変わりありません。

胃癌発生の原因
 胃癌発生の原因は色々あると言われています。塩分のとりすぎや喫煙、遺伝などが取り上げられています。しかし、近年の研究では、胃内に生息するピロリ菌が胃癌発生の最大原因である事が明らかになって来ました。若い頃から、長らく胃内に生息するピロリ菌が、胃粘膜に慢性炎症をもたらせて、やがて胃粘膜が萎縮状態となり、そこから胃癌組織が発生すると言われています。胃癌発生を阻止するためにはピロリ菌対策がまさに避けて通れない事実になっています。

胃癌撲滅計画
 衛生状態をさらに改善し、ピロリ菌の感染率(保有率)を低下させる事が胃癌撲滅のための長期計画になると思います。しかし、30才台以上の人のピロリ菌保有率が30%〜80%と高い現況では、ピロリ菌除菌療法の普及が胃癌撲滅の目標をより早く達成させる近道と考えられています。ピロリ菌除菌により、胃癌発生は減少することが明らかになって来ました。しかし、その一方、除菌だけでは完璧な胃癌抑制は不可能であることも同時に明らかになりました。なぜならば、ピロリ菌がもたらした胃粘膜の萎縮状態が持続しているためです。したがいまして、我が国では胃癌を撲滅するためには、ピロリ菌除菌による一次予防と除菌後の定期的胃癌検診による二次予防が必要になります。

胃癌で亡くならないためにするべきこと
 胃癌で亡くならないために最も重要なことは、現在の自分の胃の状態を的確に把握することです。具体的には、ピロリ菌感染の有無のチェック(採血、又は呼吸法検査)及び、胃粘膜の状態を知ることです。胃の粘膜に異常がなく、ピロリ菌も陰性の場合には、胃癌発生の確率がきわめて低くなりますので、毎年の胃癌検診は必要なくなります。残りの群には、ピロリ菌除菌と定期的な内視鏡検診によるサーベイランスをすれば、まず胃癌による死亡が殆どなくなると考えます。
 胃粘膜の状態を知るためにはバリウム検査では不十分です。日本人の胃癌発生が年間11万人であり、しかし、職域検診や地域検診のバリウム検査を通して発見された胃癌は年間わずか5,500人(発見率0.088%)、95%の胃癌が人間ドックや病院、開業医での胃内視鏡検査によって発見されたものです。バリウム検査による職域検診や地域検診をむやみに継続することが、もはや時代錯誤なのではないかと思います。
 当院では、開院以来、胃癌の予防や早期発見に全力を注いで参りました。ピロリ菌検査のための機器を茨城県南一早く導入し、平成24年6月現在、800例近くのピロリ菌除菌の実績を持ち(二次除菌の成功率が97%)、また、胃内視鏡検査をより楽に受けられるよう、経鼻内視鏡も導入しております。胃癌のことについてはどんな事でもいいので遠慮せずにご相談にいらっしゃって下さい。

  あれれ・・もしかして脳梗塞の前兆?
 皆さん、脳梗塞がどんな病気かご存知ですか。脳梗塞は脳の中の動脈が詰まる事によって、その先の脳組織が壊死(えし)になってしまう状態と言う病気です。半身不随や寝たきりの最大の原因とも言われています。しかし、その一方、発病してから4時間半(出来れば3時間)以内に緊急処置をすれば、殆んど後遺症を残さずに完全に回復出来る病気でもあります。タイムイズブレイン(時間が脳)と言われる様に、発病したら素早く脳専門緊急病院に緊急受診する事が肝心です。高血圧や高脂血症、不整脈など、脳梗塞の危険因子と言われる病気を持って当院を通院している方が多いため、脳梗塞について、簡単に紹介させていただきたいと思います。

脳梗塞の原因
 脳梗塞の原因は主に脳血栓症と脳塞栓症であります。前者は高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙などの生活習慣病が原因で、脳の動脈が動脈硬化となり、次第に内腔が狭くなり、やがて、内腔が詰まって、脳組織が壊死になってしまいます。一方、脳塞栓症は心房細動など心臓の病気が原因で、脳の動脈が突然に心臓からとんで来た血栓子で詰まっているため、脳梗塞が急激に生じる病気です。脳梗塞の発生を防ぐため、生活習慣病の管理がきわめて重要です。

脳梗塞の症状
 脳梗塞による神経症状は血管閉塞の部位や閉塞のスピード、梗塞の大きさなどで決まります。一般的によくあるのは片方の手足や指が突然に動けなくなり、呂律が突然にまわらなくなり、はっきり物が言えなくなり、または目の前に突然に幕がかかって来て、一時的に見えなくなる事もあります。または手足の指が突然にしびれて、ビニール袋をはめた様なしびれ感であらわれる事もあります。さらに、めまいや記憶障害を生じる事もあります。これらの症状は出現してからずっと継続する症例もあれば、数秒間から数分間程度持続してから一旦消失する症例もあります。前者は脳梗塞であり、後者は一過性脳虚血発作と言われ、しばしば本格的な脳梗塞の前兆であり、緊急治療を要する場合が多い。

脳梗塞発症と疑われる時の対応
 高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙または心房細動など脳梗塞の危険因子を持っている方がもし突然に上記の症状が生じた場合、仮にそれが1〜2分間だけにしても、是非脳梗塞の可能性を思い出して下さい。その時、けっして翌朝または次回診察日まで待つ事ではなく、すぐに救急車を頼んで、脳救急専門病院へ直行して下さい。この近辺では筑波メディカルセンター病院や筑波記念病院、土浦協同病院をお勧めします。脳梗塞発病から4時間半(出来れば3時間)以内にt−PAという血栓溶解剤を注射するだけで、脳梗塞が後遺症を残さずに完全に治癒する可能性が高い訳です。かかりつけ医への連絡は救急病院に着いてからでも良いです。是非おぼえていただきたいです。

  胃炎・胃潰瘍の患者様へ
  すでにご存知の方も多いかと思いますが、胃潰瘍に加えて、慢性胃炎の患者様にもピロリ菌除菌が保険適応になりました。

胃癌の最大の原因と言われるピロリ菌が胃粘膜に生息した場合、ピロリ菌感染性慢性胃炎が生じて、そこから胃癌が発生すると言われています。ピロリ菌除菌をすることにより、将来、胃癌の発生が大幅に抑えられるだろうと推測されるため、厚労省がつい最近ピロリ菌除菌の保険適応に踏み切った訳です。

胃癌発生を事前に予防するため、ピロリ菌保有者に除菌すべきだと以前から我々が推奨してきましたが、今回の厚労省の決定には、我々の長年の努力が認められた様な感じで、とても嬉しく思います。除菌には1週間の薬の内服だけで、高い除菌率が得られますので、是非ご検討下さい。詳しくは受付までお問い合わせ下さいませ。

(平成25年2月26日)

  肺炎球菌ワクチンで肺炎を予防しましょう(高齢者向け)
☆肺炎について
肺炎は、高齢者での重篤化が問題になっており、日本人の死因の第3位となっています。肺炎の最も多い病原菌は、肺炎球菌という細菌です。
特に、高齢者の肺炎の約半数は、肺炎球菌が原因とされています。

☆肺炎球菌ワクチンについて
高齢者の肺炎の中で最も頻度の高い、肺炎球菌という細菌感染を予防するワクチンです。全ての肺炎を予防するものではありませんが、接種をしておくと、肺炎の予防や、肺炎にかかっても軽い症状ですむ効果が期待されます。
接種をしてから免疫ができるまで、平均で3週間ほどかかります。
1回の接種で5年以上免疫が持続すると言われています。
季節を問わず、接種可能です。
※5年に1回の接種となっていますので、過去に接種を受けたことのある方は、接種間隔にご注意ください。

☆肺炎球菌ワクチンの接種を必要とするのは・・・
○65歳以上の方
○呼吸器に疾患をお持ちの方
○糖尿病の患者様
○慢性心不全の方
○肝硬変など慢性肝疾患の方
○養護老人ホームや長期療養施設などに居住されている方

などです。


☆予防接種以外にも、肺炎の予防のためには、以下のことも心がけましょう。
○規則正しい健康的な生活
○禁煙
○誤嚥を防ぐ
○口の中は清潔に
○基礎疾患を治療する



予防接種については、予約制となっていますので、事前にご連絡ください。
※つくば市に住民登録があり、接種日に65歳以上の方には接種費用の一部助成があります。一部助成の実施期間は、平成25年4月1日〜平成26年3月31日です。助成金額は3,000円ですので、当院で接種を受けた場合の本人負担は4,500円です。

ご不明な点がございましたらお問い合わせください。


(平成25年4月30日)

  万が一 ハチに刺されたら
 5月から10月にかけては、ハチが活発に活動する季節です。つくば市でもミツバチ、アシナガバチ、スズメバチ等が見られ、夏の終わりから秋にかけては特にハチに刺される事故が多いようです。


 万が一刺されてしまったら、まずは冷静にその場所からゆっくりと立ち去りましょう。そうしないと警戒中のハチが警報フェロモンを出し、近くにあるかもしれない巣全体を興奮させてしまいます。 
 巣から離れ、針を抜き、毒を出し、洗って、冷やし、安静にすることが基本です。ハチに刺されると驚いてパニックになってしまうかもしれませんが、アイスノンや濡れタオルなどで患部を冷やしながらそのまま病院へ向かい、受付でしっかりとハチに刺されたと伝えましょう。迅速な処置を施すことで重症化を防ぐことができます。ハチの種類や大きさに関係なく、ハチに刺されたら迷わずすぐに受診しましょう。
 
 ハチに刺されたときの症状は、ハチの毒そのものの薬理作用によるものと、ハチの毒に対するアレルギー反応の2つがあり、局所症状と全身症状としてあらわれます。
 
 局所症状は、刺された部位が赤く熱をもって腫れ、痛みを伴います。
 
 全身症状は、アナフィラキシーショックという反応です。
 
 アナフィラキシーを起こすと、呼吸困難や血圧低下などを起こし、最悪の場合、死に至る危険もあります。特にアレルギー体質の人は、以前にハチに刺された時に免疫ができてハチ毒に対して極めて敏感になり、2度目以降に刺された時にアナフィラキシーショックを示すことがあります。刺された部位以外にもかゆみが広がる、息切れがする、ゼーゼーする(喘鳴)、冷や汗が出る、意識が遠のくなどの症状があらわれたら、とにかくすぐに救急車を呼んで下さい。すぐに病院に搬送しないとショックで死亡してしまうことがあります。
 
 ハチに刺された時の対処法として、アンモニア水をかけるというものがありますが、これは効果がないだけでなく、かえって皮膚炎を引き起こすこともあるのでやめましょう。
 
 ハチは大きな音や振動などの刺激を受けると、興奮して攻撃性を増すそうです。ハチを刺激しないように注意しましょう。


ハチに刺されないために…
● ハチは黒いものを狙う習性があるので、白っぽい服や帽子を着用する。
● あらかじめ腕や脚などに虫除けスプレーを吹き付けておく。
● 巣の近くで大声を出したり、強い振動を与えたりしないように注意する
● 頭を隠し姿勢を低くして、ゆっくり静かにその場を離れる。


(平成25年6月26日)

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